『ラ・ラ・ランド』のゴズリング&チャゼル最新作がトロントでプレミア上映!コンビの第3弾はバットマン?
9月10日、トロント国際映画祭上映作品の中でも1、2を争う話題作『ファースト・マン』(19年2月公開)のプレミアが行われた。2016年のトロント国際映画祭観客賞を受賞した『ラ・ラ・ランド』(16)の主演、ライアン・ゴズリングと監督デイミアン・チャゼルが再びタッグを組み、命がけで人類初の月面着陸ミッションを成し遂げたニール・アームストロングの半生を描いた。
プレミアには監督、主演の2人のほか、ニール・アームストロングの妻・ジャネットを演じたクレア・フォイ、ミッションに参加した宇宙飛行士役のカイル・チャンドラーらキャスト勢、そしてアームストロングの実の息子たちも参加した。
もともと、チャゼル監督は『ラ・ラ・ランド』が始動する前からこのプロジェクトを準備しており、ゴズリングと初めて顔を合わせたのは今作の打ち合わせだったそうだ。「ちょうど『セッション』(14)の直後で、(アームストロングの)どんな犠牲を払ってでも夢へ向かっていく情熱に、『セッション』と共通するテーマを感じていた。ライアンと会ったときに『ファースト・マン』の構想についていろいろと話したけれど、ジーン・ケリーについても軽く話して、結果的に『ラ・ラ・ランド』を先にやることになっちゃったね」とチャゼル監督は語る。
キャストたちは、撮影前にNASAで実際の宇宙空間を想定したミッションの訓練を受け、空中遊泳や月面ローバーに乗ったそうだ。「ヒューストンに行ったライアンたちから興奮気味に写真を見せられたけれど、その間、僕はカット割りや撮影の順番などを決める作業をしていて、体験することができなかった。役者と監督それぞれの仕事に向けて忠実に準備していたということだから仕方ないけどね(笑)」。
月面着陸ミッションの撮影時には、実際にアポロ11号に乗り込んでいた宇宙飛行士たちが考証担当として立ち会っていたそうだ。「実際にミッションに関わった人たちは誰も体験したこのない経験をしている。彼らが事実関係を保証してくれる存在になると同時に、撮影に立ち会っていたら完成した映画を観ても文句を言えないだろうからね(笑)」とゴズリングは笑みを浮かべ本作の撮影を述懐。
「『ご家族もこの映画を観るんだ』という思いが撮影中常にあった。アームストロングは、初めて月について学ぶときに同時に学ぶくらい著名な人物。ジャネット夫人や家族と時間を過ごし、またデイミアンと一緒にニールが生まれ育ったオハイオ州の広い荒原で空を見上げたのも、彼について知るのにとても役立ったと思う」とゴズリングが言うと、「オハイオ州の果てしなく続く荒原を見ていると、地平線の彼方で宇宙と繋がっているような気分になる。そこへ行ってみて、どうして宇宙飛行士にオハイオ州出身者が多いのかわかったような気がした。あの景色を見て育ったら、宇宙に行きたくなる」とチャゼル監督が付け加えた。
また、ゴズリングは自身の監督・脚本作にチャゼルをキャスティングするかという質問に対して「準備している最中だけど、デイミアンからは多くのことを学ばせてもらった。交渉成立かな?じゃあ、僕が監督して、デイミアンにはバットマンを演じてもらおう」と、2作連続でタッグを組み息のあったところを見せていた。
取材・文/平井伊都子