ユアン・マクレガーが明かす、“誰もが知っているキャラクター”の演じ方とは?
ウォルト・ディズニーが手掛けた短編アニメーション『プーさんとはちみつ』(66)での初登場以来、ディズニーを代表するキャラクターとして長年にわたり愛され続けてきた「くまのプーさん」を初めて実写映画化した『プーと大人になった僕』(公開中)。このたび本作で、大人になったクリストファー・ロビンを演じたユアン・マクレガーが初来日。その役作りについて話を聞いた。
寄宿学校に行くために“100エーカーの森”に暮らす仲間たちと別れることとなった少年クリストファー・ロビン。やがて大人になった彼は、ロンドンで仕事に追われ、家族との時間も顧みず働いていた。そんな彼の前にかつての大親友プーが現れ、クリストファー・ロビンは再び“100エーカーの森”に足を踏み入れることに。
世界中の誰もが知っている“クリストファー・ロビン”の大人になった姿に挑んだユアンは、かつて『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)でも“誰もが知っているキャラクター”の“知られざる世代”を演じた。同じイギリス出身の名優アレック・ギネスが『スター・ウォーズ』(77)で演じたオビ=ワン・ケノービの若き日に挑んだ当時のことを「俳優として、とてもチャレンジングで珍しい体験だった」と振り返ったユアンは、それぞれの役柄へのアプローチの違いを語った。
「オビ=ワンの時はすでに演じられたキャラクターの若い日を演じなくてはいけなかった。キャラクターのクリエイションといえる部分はすでにアレックがやっていたから、僕は声やヴィジュアルなど、彼が演じたキャラクターのイメージに寄り添いながら、観客に『これがオビ=ワンの若いころだ』と信じてもらえるように演技していたんだ」と明かす。
そして本作でのクリストファー・ロビン役については「世界中が知っているといっても、みんなは少年のクリストファーしか知らない。だからこそすごく自由があった」と満面の笑みを浮かべる。「脚本には、大人になったクリストファーがどんな人物で、人生のどのような部分にいるのかがすごく明確に書かれていた。おかげで迷うことなく演じることができたよ」と、自信を持ってのびのびと演技に臨めたという。
さらにユアンは「役柄へのアプローチの方法は、すべての作品でそれぞれ異なっている」と自身の演技論を展開。「僕は脚本を読んだ時に初めてその役柄と出会い、演じる時までずっと頭のどこかでその役柄のことを考えているんだ。作品によっては技術的に学ばなければいけないこともあるけれど、あまり分析や意識をすることなく、直感で演じるようにしているよ」。
もちろん本作に臨むにあたり、子どものころに出会ったA・A・ミルンの原作や、アニメーション版のイメージが役作りの根底にあったという。「100エーカーの森の仲間たちとクリストファーの関係性に慣れ親しんでいたからこそ、その部分を理解して演じれば大丈夫だという安心感があった」と、この物語が持つ“友情”という大きなテーマが、時代を隔てた本作にもしっかりと反映されていることをうかがわせた。
取材・文/久保田 和馬