歌って踊る「HiGH&LOW」スピンオフ!?主役の3人が語る“DTC”だからできたこと
これまで、ダイナミックな映像表現とアクションで観客を魅了してきた「HiGH&LOW」シリーズ。そんなシリーズから心機一転、“アクションなし”で挑んだのスピンオフ作品『DTC –湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』が本日28日より公開となった。今回、アクションを封印し、ハートウォーミングな物語に挑んだ山下健二郎、佐藤寛太、佐藤大樹の3人にインタビュー。シリーズならではのおもしろさ、これまでとの違いなどについて聞いた。
シリーズ全作品の脚本を手掛けてきた平沼紀久が、長編映画初監督を務めた本作は、ならず者たちが激しい抗争を繰り広げるSWORD地区の一角を担うグループ「山王連合会」のダン(山下健二郎)、テッツ(佐藤寛太)、チハル(佐藤大樹)の3人組(通称DTC)が主人公。刺激的な日々に疲れ、SWORD地区を飛び出した先で出会った人たちとの交流を通し、成長していく姿を描いた青春ドラマだ。
温泉街の旅館でバイトをすることになった3人は、夫と死別し、1人娘のメグミ(新井美羽)を育てながら旅館を切り盛りする若女将のマリと出会う。彼女と番頭の宮崎(駿河太郎)が互いに惹かれあっていると知った3人は、メグミを気遣い、再婚に踏み切れないでいる2人を手助けするために、ある作戦を実行しようと奮闘する。
――本作の脚本を初めて読んだ時の感想を教えてください。
大樹「台本に“歌って踊るDTC”と書いてあって。いままでの『HiGH&LOW』では絶対にありえなかったので、これは冒頭から観に来たお客さんをびっくりさせられるなという驚きと期待がありました」
寛太「いままで『HiGH&LOW』って、最先端の技術を使ったアクションでどれだけ豪華な画を撮れるかというエンタテインメントを追求していたと思うんですけど、それとはまた違って、歌や踊り、ファミリーでもわかりやすい話だし、最後ほろりと涙できるようなすてきな作品になっていたので、『あ、こういう角度で攻めるエンタテインメントもあるんだな』という新しさを感じました」
山下「僕は台本を読んで、『本当にこういうことがやりたかった』というのを一番に感じました。『HiGH&LOW』でダンという役を3 年近くやって来て、ケンカがあったりグループの友情だったりをいろいろ描いてきたなかで『DTC の3人はなにかもっとほかのことができるんじゃないかな』みたいなことを話し合っていたんです。なので、出来上がった台本をいただいて読んだ時に『早くやりたい』という気持ちがどんどんあふれていったという感じですね」
――本作では踊るだけじゃなく、歌も披露されていました。いかがでしたか?
大樹「冒頭の『traffic light』という曲はレコーディングで苦戦しましたね。いきなりスケジュールに“ボイトレ”が入っていて『なんですか、これは?』みたいな。3人一緒にやることはなく、レコーディングもバラバラだったので、一人一人がどんなふうに進んでるのかが分からなくて…。でもみんなすごい頑張ったので、良い歌に仕上がりました」
寛太「歌うパートも踊るパートも僕が一番少なかったんですけど、僕が1番練習しました。週3くらいでボイトレしてたんで(笑) 。挑戦できるって、何事も楽しいなと。『HiGH&LOW』ってずーっとなにかに挑戦させていただける作品なので、歌って踊る映画って日本ではなかなか数が少ないじゃないですか。その中の一つに挑戦できたのは、すごく良い経験になりました」
山下「歌うこと自体はすごく好きなんですけど、こんなに本格的にレコーディングや歌の練習をしたのは初めてだったので、ひじょうに貴重な経験させてもらったなと。あと踊りながら歌うのって、本当に難しいなと思いました。歌って踊ってるアーティストの方はいっぱいいるじゃないですか。改めて『あ、もうパフォーマンスだけでいいな』と思いましたね(笑)」
――これまでとは異なり、他者と争うことなく誰かを救おうとするDTCの3人は、この旅でどのようなことを学び、成長したと思いますか?
寛太「ほかのグループたちとケンカしている姿ばかり描かれていた3人が、普段どんな生活を送っているのか。そんな裏側を見せられれば良いなと思いました。ああやって、知らない土地の人たちと関わる機会はあまりないので、あの旅館に泊まったことで世の中を知って、役としても自分自身も、人として成長できたのではないかなと思います」
山下「『HiGH&LOW』のスピンオフではあるものの、SWORD地区の外に飛び出して“拳を交わすだけが正解じゃない”ということを3人は知ったんだと思います。家族の絆を深めさせるために、ダンたちが動いているというのは、1つ大人になったような気がするんです。まあダンたちは、困っている人たちに対して無条件に動くという精神はもともと持っているんじゃないかな。普段話さないようなコンプレックスや家族の話をアユミちゃんに話すシーンなんかは、普段の『HiGH&LOW』シリーズでは描けない部分だったと思うので、DTCならではの要素なんじゃないかなと」
大樹さん「チハルって、シーズン1からけっこう立ち位置が変わってるんですよね。最初は仲間に憧れてチームに入って、そこから仲間を思う気持ちやチームの絆を知っていったキャラクターなんですけど、今回はそれを誰からも教わることなく、自分たち3人の力で表現できたんじゃないのかなと思います。誰の力も借りずに自分たちの手で解決できたというのが、チハルが成長できた部分じゃないかな」
――平沼監督とのお仕事はいかがでしたか。また、俳優もされていた平沼さんから演技に対するアドバイスなどありましたか?
山下「すべてノリさんの中で映像プランが出来上がっていた気がしていて、『もう少しこうしてほしい』などの細かい指示はありましたが、僕はノリさんとも付き合いが長いので、もう監督を信頼して、すべて委ねたという感じでした」
寛太「ぼくらに演技指導をしてくれる時、それぞれのキャラに分けてノリさんが説明してくれるんですが、その時に見せてくれる軽い小芝居がとてもうまいんです。笑いの落としどころなんかもしっかり押さえられていて伝わりやすいんですけど、それと同時に、正解をノリさんに出されることに対する悔しさもありましたね」
大樹「僕はノリさんが作る脚本や演出が大好きなので、すごく信頼していました。寛太も言っていましたが、リハで『ここはこういう言い方だよ』ってノリさんがする演技がおもしろすぎて、僕たちがそれを超えられないことがあって、それは悔しかったですね。『あー、さっきのノリさんに見せてもらった演技だとおもしろかったのに!』って何度かなりました」
――「HiGH&LOW」シリーズの出演者やLDHの皆さんからは、本作について感想などなにかありましたか?
山下「岩谷翔吾(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)からLINEが来ました。僕は、彼が小学校の時から、ダンススクールでインストラクターとして面倒を見ていたので、そんな彼から映画の感想が来るというのはとても感慨深かったです。すごくいい後輩を持てたなと。ちゃんと作品についてポイントを押さえたコメントをくれていたので、愛情をもって観てくれたんだなと感動しました」
寛太「僕にもRAMPAGEの藤原樹と吉野北人、あと翔吾からも感想が来ました。そのなかでも一番、翔吾の感想が『あー、そのシーンが好きだったんだ』っていうのがわかってうれしかったですね」
山下「3代目の岩ちゃんも『すげーおもしろかった』って言ってくれました」
大樹「あと、今回オープニングを歌ってくれたSHOKICHIさんが『2回観た!おもしろかった!』って言ってくれてました。MAKIDAIさんにも褒めてもらいました」
――『DTC』の続編はあるんですか?
山下「僕らの意思としてはやりたいです」
大樹「あると思ってます、僕らは。もちろん」
山下「勝手に(笑)」
文/編集部