『ビブリア古書堂の事件手帖』三島有紀子監督、サザンの主題歌の制作秘話を明かす
三上延の同名ミステリー小説を映画化した『ビブリア古書堂の事件手帖』(11月1日公開)の公開を記念して、本作の原作者である三上延と、映画を手掛けた三島有紀子監督によるトークイベントが、10月15日にHMV&BOOKS日比谷コテージで開催。三島監督はサザンオールスターズによる主題歌「北鎌倉の思い出」にまつわるエピソードを明かした。
同曲は、作詞・作曲を桑田佳祐が、原由子がボーカルを務めた新曲だが、三上は「僕はサザンオールスターズが大好きで、たぶん中学生の時、初めて買ったLPがサザンの『KAMAKURA』だったのでうれしかったです」と告白。
三島は「私は自分が編集した作品とお手紙をつけて桑田さんと原さんにお渡ししたんですが、映画を観てこの歌詞を書いてくださったんだなと。スタッフやキャストが目指したものが桑田さんに伝わって、桑田さんの体を通して変換された歌詞がこういう歌詞なんだ!という感激が一番大きかったです。また、今回の映画にぴったりの原由子さんの声だったので、非常に感慨深い思いでした」と感激しきりだった。
また、夏帆と東出昌大が演じた過去パートは原作にないエピソードだが、映画に入れ込んだ理由について、三島監督は「一つは、栞子さんのとてもすてきなキャラクターや、本の知識によってひも解かれる時の人間ドラマが描かれないとおもしろくないと思ったからです。また、自分の中で、“古本が人の手を渡っていくたびに、誰かの想いが積み重なっていく”というテーマがあったので、過去をしっかり描きたいと思いました」とその意図を明かした。
三上は「過去パートも好きでした。原作でも、ある程度は考えてはいたんですが、そんなにきちんとは詰めてない。物語の余白を残していたけど、それがものすごく鮮明に目の前に現れたので、自分の中で『こんな話だったのか!』という驚きがありました」と感心していた。
『ビブリア古書堂の事件手帖』の舞台は、鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂。黒木演じる古書堂の店主・篠川栞子が、古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かしていく。彼女に魅せられて店を手伝うことになる五浦大輔役を野村周平が演じた。
取材・文/山崎 伸子