中国版『リトル・ダンサー』で鮮烈に映画デビューしたイケメンの素顔は?

インタビュー

中国版『リトル・ダンサー』で鮮烈に映画デビューしたイケメンの素顔は?

ヒューストン・バレエ団の元プリンシパルで中国人のリー・ツンシンの自伝的小説を映画化した『小さな村の小さなダンサー』(8月28日公開)。中国の貧しい村出身の少年が、バレエダンサーとしての才能を開花させる本作は、中国版『リトル・ダンサー』とも言われている。そこで本作で主演を務めた、中国人のイケメン・バレエダンサー、ツァオ・チーを直撃!

ツァオ・チーは、バーミンガム・ロイヤル・バレエのプリンシパルで、日本人ダンサーの佐久間奈緒と何度もパートナーを組んできた才能あふれるダンサーだ。彼自身も、イギリス映画『リトル・ダンサー』(00)は大好きな作品だと言う。「ロイヤルバレエ団にいる友人、ロバート・パーカーは、あの映画の主人公ビリー・エリオットそのままなんです。個人的には、すごく近いものを感じますね」。

『小さな村の小さなダンサー』は、毛沢東の文化政策により幼くして両親と別れ、バレエの英才教育を受けた少年が、バレエダンサーとして成功を収めていく物語。ツァオ・チーは「僕も若い時に中国を後にして、ひとりで外国へ行ったので、当時のリーさんの気持ちはとてもよく理解できました」と語る。

劇中で描かれる、イギリスと中国のカルチャーギャップが面白い。ツァオ・チー自身も、同じような体験をしたそうだ。「初めて海外で出された夕食が、何もかかってないラムチョップと、ブロッコリーやジャガイモをゆでただけの物でした。中国の炒め物と違って、全然おいしくなくてがっかりしました。女性に『どこかへ行かない?』って気軽に声をかけられることにも驚きましたね。また、ATMは当時使ったことがなかったので、最初にカードを作った時は嬉しくて、5ポンドずつ何度も引き出しましたよ(笑)」。

本作が映画デビュー作だったから、苦労も多かった。「『春の祭典』の公演で、ある人と再会するシーンは、エキストラ500人の前でダンスシーンを撮影した後で撮影をしたんです。疲れていたけど最も重要なシーンだったので、感情を思い切り出して泣き、『終わった!』と思ったら監督から『良かったよ! じゃあ次はアップで』と言われ、大ショック。映画撮影は初めてだったので、ヒキとアップの両方を撮るってことを知らなかったんです。そしたら今度は、考えれば考えるほどできなくなって。本当に苦労しましたよ」。でも、その甲斐あって、このシーンはかなりエモーショナルに仕上がっている。

最後に、リー・ツンシン同様、世界的なバレエダンサーとなった彼に、夢を叶える秘訣について聞いてみた。「才能があったとしても、鍛錬なくしては成功なしです。自分も朝起きて、練習したくないと思う日はあるけれど、自分にムチを打って、レッスンを毎日続けたから今があるんだと思います」。

美しい獣のように伸びやかなバレエが踊れるツァオ・チー。祖国を離れ、時代に翻弄されながらも自分を磨き上げて成功した『小さな村の小さなダンサー』のリー・ツンシンは、まさに彼自身の人生を投影した役柄だろう。彼にしか演じられなかったであろう本物のドラマとダンスシーンを、大きなスクリーンで堪能してほしい。【Movie Walker/山崎伸子】

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