音楽ものが続く桐谷健太、『BECK』でラッパーに挑戦!

インタビュー

音楽ものが続く桐谷健太、『BECK』でラッパーに挑戦!

2009年の『クローズZERO II』『ROOKIES 卒業』で独特の存在感を残し、2010年には『ソラニン』を皮切りに『BECK』『オカンの嫁入り』(共に9月4日公開)の3本の映画が立て続けに公開。名実ともに売れっ子俳優の道を歩む桐谷健太。『20世紀少年』3部作の堤幸彦監督と、ハロルド作石の1500万部を超える原作で話題を集めている青春ストーリー『BECK』では、バンドのボーカル&ラップ・千葉を熱演している。

同作は、天才的ギタリスト・竜介(水嶋ヒロ)と出会ったことで音楽の魅力に目覚め、その才能を開花させる佐藤健演じるコユキの成長を中心に、5人の若者が最高の音楽に向かって突き進んでいく夢と友情と葛藤の物語で、桐谷は前作『ソラニン』のドラマー役に続き、今回はボーカルに挑戦している。音楽づいているがもともと音楽好き。「遊び程度ですけど、今プライベートでもバンド活動しているんです。今まではドラムだったけれど、この作品に関わってからはボーカル(笑)」と茶目っ気たっぷりに話す言葉からは、『BECK』の影響がいかに大きかったのかが伝わってくる。

バンドのメンバーの中で千葉は喧嘩っ早いキャラクターで、特に感情を露わにする役どころ。「オファーをもらって、原作を読んで、一番好きなキャラクターが千葉だった」という、本人にとっては嬉しい抜擢であり、千葉に惹かれた理由については「天才じゃないところ」だと説明する。「他のメンバーはみんな天才的だけれど、千葉はそうじゃない。コユキ(佐藤健)というド天才が現れて揺れる、ものすごく人間らしいヤツなんです」。

さらに「自分の声でやらないと意味がないと思った」という熱っぽい言葉にも桐谷の演じることに対するこだわりが感じられる。「元スクリーミング・ソウル・ヒルのボーカルのKOJIくんにラップ指導してもらったんですけど、彼がいなかったら千葉は完成できなかった。でも、教わってできるものじゃないものもあって。あの時にしか出せないエネルギーが絶対にあったと思うし、それを(堤監督に)フィルムに封じ込めてもらったと思います」。

また、「どっちが千葉で、どっちが俺なんだろう」というほど、役に入り込んだことも役者としてプラスになったそうだが、役柄と自身との同化の背景には“挫折”という厳しい現実もあったと明かす。

「21歳の時、仕事もプライベートもすべてが絶望的になる挫折があったんですよね。それを支えてくれたのは友達、家族、周りの人たち。あと、どこかで俺は絶対大丈夫! 俺は絶対いける! という根拠のない自信が支えでもありました。どんな挫折だったかですか? それを詳しく話すと2時間半かかるので、詳しくはファーストPHOTO BOOK『野良人』を読んでくださいということで(笑)。でも、ひとつ言えるのは、人は常に自分自身と闘っていかなあかんってことですよね」。この深みのある言葉は、過去の挫折あってこそ言える言葉だろう。

大きくても小さくてもいい、挫折を味わったことのある人は桐谷健太の演じる千葉に大きく共感するだろう。そして、「この『BECK』は、挫折と向き合い闘うことの大切さが見える映画。5人の男たちの物語だけど、是非女の子にも見てほしい」と熱いメッセージを残した。【取材・文/新谷里映】

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