宇多丸が、カルト的人気を誇る森田芳光監督作『ときめきに死す』を語りつくす!
1984年に公開され、いまなお多くの映画ファンからカルト的人気を誇る森田芳光監督の『ときめきに死す』が10日、東京・池袋の新文芸坐で開催中の「2018年の森田芳光 –森田芳光全作品上映&史上初!ライムスター宇多丸語り下ろし-」で上映され、本特集上映の発案者であるライムスター宇多丸と、森田作品のプロデューサーであり森田監督の夫人でもある三沢和子が超満員の観客を前にトークショーを行なった。
森田監督は1978年に、現在の「ぴあフィルムフェスティバル」の前身にあたる「ぴあ展」に『ライブイン茅ヶ崎』を持ち込んで以降、映画監督として一線級で活躍。松田優作主演の『家族ゲーム』(83)や吉本ばなな原作の『キッチン』(89)、社会現象を巻き起こした『失楽園』(97)など数多くの傑作を世に送り出す。日本アカデミー賞最優秀監督賞を1度、優秀監督賞を3度受賞し、2011年12月20日に61際の若さでこの世を去った。
この日上映された『ときめきに死す』は、23歳という若さで芥川賞を受賞した作家・丸山健二の同名小説を大胆なアレンジで脚色した森田の代表作の一つ。孤高のテロリストが宗教家暗殺に失敗するまでの過程を、男2人と女1人の奇妙な共同生活と共に描きだしたクライム・ムービーだ。森田監督の前作『家族ゲーム』のスタッフが再結集し、クールでスタイリッシュな映像に重点を置き作り上げられた。
「『家族ゲーム』が公開になる前、のちに伊丹十三監督の映画のプロデューサーをされる細越省吾さんからいただいたお話です」と切り出した三沢は、森田監督が原作を読んだ瞬間に映画としてのビジョンを思い描きながらも、絶対ヒットしないだろうと悩んでいたことを明かす。しかし「沢田研二が主演だと決まった瞬間に、ジュリーを監督できるならと引き受けたのです」と振り返った。
本作に「キャスティング」としてクレジットされている三沢は「私は何でもやる係で、どうしようかとなってキャスティングになった」と経緯を明かしながら、宇多丸とともに魅力的なキャストの配役の決め手や裏話などを紐解いていく。本作は主演の沢田を筆頭に杉浦直樹や樋口可南子、矢崎滋、加藤治子、宮本信子、岸部一徳らが出演している。