松坂桃李、初ドラマは「『バーターだから』と言われた」役者道10年を振り返り、恩返しを誓う!
東京都多摩市内で開催される映画ファンの祭典「第28回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」にて「第10回TAMA映画賞」の授賞式が11月17日にパルテノン多摩で行われ、最優秀男優賞を受賞した松坂桃李が登壇。「お芝居を始めて10年。初めてドラマが決まった時は『バーターだから』と言われた」と役者道を振り返りながら、ぶっちゃけトーク。10年で「メンタルが強くなった」と胸を張り、今後への飛躍を誓った。
「TAMA映画賞」は、“いきのいい”作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するもの。松坂は本年度、最も心に残った男優を表彰する最優秀男優賞を受賞。『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』に出演し、「作品ごとにまったく異なる境遇に生きる若者の姿を、ほとばしる情熱で息づかせた迫真の演技で観客を魅了した」と評価され、受賞を果たした。
「TAMA映画賞」が10年目を迎えたとあって、「僕もお芝居を始めて10年。そのタイミングでいただけたのもなにかの縁。10年を振り返っておりました」と口火を切った松坂。「初めてドラマが決まった時は、チーフマネージャーさんに『バーターだから』と言われた。バーターというのは、事務所の売れている方の力を使って出させていただくこと」と説明して、会場も大爆笑。
「『この現実を受け止めろ』と1年目で言われ、2年目で『今年が勝負』だと。3年目で『ここで結果を出さなければ終わり』と」と年を重ねるごとにマネージャーからプレッシャーをかけられたそうで、「二人三脚でやっているチーフマネージャーさんに、精神的に食らう言葉をかけ続けられた。おかげ様でメンタルが強くなりました」と茶目っ気たっぷりに感謝を述べた。
「ボロ雑巾のようにやられる(笑)。でもこうやって作品に出会わせてくれたのもチーフ。感謝してもしきれない。その現場でいろいろな方に支えていただき、自分が出来上がっている。30代は受けた恩を返し切れるかわからないですが、丁寧に(作品に)向き合って返していきたい」と決意を語っていた。
また最優秀女優賞を受賞したのが、松岡茉優。今回『万引き家族』の安藤サクラも最優秀女優賞を受賞し、同作で安藤と共演も果たした松岡は「もしこの賞が1名のみだったら、私は確実にここにはおりません」と完敗宣言。「初号試写で観た時に、リリー・フランキーさんが『ラストのシーンだけで、安藤サクラは賞を8個は獲れる』と言っていた。私は“悔しい”と思いました」と安藤への率直な想いを吐露した。
2年前には同じ場所で最優秀新進女優賞を受賞している松岡だが、「悔しいと思えたことが、一番の成長」と晴れやかな笑顔を見せ、「いつかサクラさんに追いつきたい、追い越したいと思えたのは、ここで俳優として認めてもらたから。自信と暖かい気持ち、心強い後押しをいただき、これから飛躍していくことを誓います」と力強く決意表明した。またこの日は、松岡の親友である伊藤沙莉が最優秀新進女優賞を受賞しており、ステージ上では2人で顔を見合わせて、笑顔を弾けさせるひと幕もあった。
【第10回TAMA映画賞受賞結果一覧】
■最優秀作品賞:『万引き家族』(是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同) 、『寝ても覚めても』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)
■特別賞:『モリのいる場所』(沖田修一監督及び山﨑努・樹木希林はじめスタッフ・キャスト一同) 、『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同)
■最優秀男優賞:東出昌大(『寝ても覚めても』『菊とギロチン』『パンク侍、斬られて候』『OVER DRIVE』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』)、松坂桃李(『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』)
■最優秀女優賞:安藤サクラ(『万引き家族』『DESTINY 鎌倉ものがたり』)、松岡茉優(『勝手にふるえてろ』『万引き家族』『ちはやふる -結び-』『blank13』)
■最優秀新進監督賞:今泉力哉監督(『パンとバスと2度目のハツコイ』)、三宅唱監督(『きみの鳥はうたえる』)
■最優秀新進男優賞:吉村界人(『モリのいる場所』『悪魔』『サラバ静寂』『ビジランテ』)、吉沢亮(『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2 掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』『悪と仮面のルール』『レオン』『斉木楠雄のΨ難』)
■最優秀新進女優賞:深川麻衣(『パンとバスと2度目のハツコイ』)、伊藤沙莉(『榎田貿易堂』『パンとバスの2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』)
取材・文/成田 おり枝