「バーフバリ」の前日譚やタイのハイスクールディザスターものなど、 アジアのストーリーテリングに注目する2019年のNetflixオリジナル映画
シンガポールで開催されたNetflixの新作発表イベントにて、今冬から来年にかけて配信されるNetflixオリジナル映画作品8本が発表された。アンディ・サーキスが監督を務める『モーグリ:ジャングルの伝説』(12月7日配信)や「ホームアローン」シリーズのクリス・コロンバス製作の『クリスマス・クロニクル』(11月22日配信)のようなファミリーで楽しめる作品から、タイやインドの映像作家をフィーチャーし全世界に配信するといったNetflixの方針を示すような作品ラインナップが並んだ。
その中でも、日本の視聴者が期待を寄せるのは、アリシア・ヴィキャンデル主演の『アースクエイク・バード(原題)』だろう。本作でアリシアは、日本に住む外国人女性リリー(ライリー・キーオ)の殺人容疑をかけられる友人ルーシーを演じる。また、ルーシーの恋人でカメラマンの禎二役に、EXILEの小林直己がキャスティングされていることでも話題になった。製作総指揮にリドリー・スコット、監督には『アリスのままで』(14)のウォッシュ・ウエストモアランド、そして美術に種田陽平、キャスティングに奈良橋陽子といった国際的なスタッフが揃っている。撮影は東京及び新潟の佐渡島で行われ、2019年配信予定だ。
ともに学校を舞台にしたタイ発のディザスター映画『The Stranded(原題)』『Shimmers(原題)』、台湾の芸能界を舞台にした『Triad Princess(原題)』といったアジア各国から発信されるオリジナル作品も続々と配信される。日本でもタイの高校生たちがカンニングを行う姿を描いたクライム・エンタテインメント『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(17)のヒットが記憶に新しいように、アジア発の斬新なストーリーテリングに注目が集まるのは必然と言えるだろう。
また、ハリウッドに次ぐ映画大国として知られるインドからは、あの「バーフバリ」シリーズの最新作となる『Baahubali: Before the Beginning (原題)』の製作も発表になった。『バーフバリ 伝説誕生』(15) 、『バーフバリ 王の凱旋』(17)の前日譚となる。そのほかにも、トロント国際映画祭でプレミア上映されたアーミー・ハマー、インドを舞台にしたデヴ・パテル主演作『Hotel Mumbai(原題)』、クリケットのスター選手になるべく父の猛特訓を受ける兄弟を描いた『セレクション・デイ』やニューデリーを舞台にしたファミリードラマ『ラジマライス 父の秘密作戦』(11月30日配信)など、Netflixはいままで日本では簡単に観ることができなかった映画へのアクセスも簡単にしてくれる。「バーフバリ」や90年代にミニシアターブームを牽引する大ヒットとなった『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)だけではない、インド文化の奥深さを知るチャンスとなるだろう。
取材・文/平井伊都子