『アリータ』スタッフがサイボーグ少女へのこだわりを告白!「髪の毛1本も人間らしく再現」
木城ゆきとによる伝説のSFコミック「銃夢(がんむ)」を『アバター』(09)のジェームズ・キャメロン製作・脚本で映画化した『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年2月22日公開)の世界最速特別映像試写会&トークイベント「ジェームズ・キャメロンの新たな映像世界」が、12月10日にTOHOシネマズ新宿で開催され、シークエンスVFXスーパーバイザーを務めた、映像スタジオ「WETAデジタルスタジオ」のニック・エプスタンが登壇した。
本作の舞台となるのは、“支配する者”と“支配される者”の2つの世界に分断された謎めいた未来。荒廃した瓦礫のなかからサイバー医師のイドに拾われたサイボーグの少女、アリータが壮大な旅に出る姿を描く。
この日は、約30分の特別映像を上映。現実世界で躍動するアリータの姿は、まさに“映像革命”と呼ぶにふさわしい仕上がり。トークに参加した映画ライターの杉山すぴ豊も「アリータに恋をしそう。アリータを愛らしく描くために公開が遅れたんだと思う。待った甲斐があったなという映像」と本作の公開が遅れていたこともあって、待望の想いを吐露。「実際はどこにこだわって、公開が遅れたんですか?」と斬り込むと、エプスタンは「WETAでは、理由はよくわかっていない。僕らはスケジュール通りにやったんだよ。でも遅れた結果、シークエンスによっては時間がかけられた」と妥協なく、制作に臨んだことを明かしていた。
作業の間には「キャメロンからのダメ出しが、しょっちゅう来る」と苦笑いを見せたエプスタン。こだわっていたのは「原作漫画に忠実であること」だそうで、「例えば、アリータの目の下の“血のマーク”の位置がちょっと違う。それは原作の3作目の31ページに描いてある。これを参考にしろ」と具体的な指示がキャメロンから飛んでくるという。
アリータは、すべてモーションキャプチャーによってCGで描かれたが、最も苦労したのは「アリータが人間らしい」ことだという。「アリータを演じたローラ・サラザールの演技だけでなく、彼女の口や目、表情や感情をすべてキャプチャーした。いろいろな技術革新があった」と胸を張り、「『アバター』の時はおおよその数で髪の毛をシュミレーションしたが、今回は1本1本、すべて再現できた。また、奥行きもできた」と『アバター』からも大きく進歩したと話していた。
「WETAデジタルスタジオ」ではポケモンが人気だそうで、「みんなジブリも大好き。僕はトトロが特に好きなんだ」と日本のアニメーションへの愛を語るひと幕もあり、「できたら、いつかやってみたい」と実写化にも意欲をのぞかせて会場を盛り上げていた。
取材・文/成田 おり枝