『パラダイス・キス』で女装チャレンジの五十嵐隼士「芽生えそう」と衝撃発言
累計発行部数600万部突破した矢沢あい著者の人気コミックを実写化した『パラダイス・キス』(2011年春公開)のワンシーンが公開された。今回公開となったのは、原作でもおなじみのアトリエ(ヤザガクの生徒たちが創作活動の場として日夜集まる“パラダイス・キス”を象徴する場)シーン。セットは、イザベラが立っているカウンター、ビリヤード台、服飾をするにあたり必要な備品が細々と並べられており、アトリエ外の階段も原作さながらのセットが組まれている。
進学校に通う女子高生・早坂紫(北川景子)は、受験を控えるも思うように成績が伸びず、自分の生き方に疑問を持ち始めていた。そんなある日、ファッション業界を目指す専門学校生から「ショーモデルになってくれないか」とスカウトされ戸惑う紫だったが、デザイナーへの夢を真っ直ぐに追いかける仲間に出会ったことで、自分も夢を見つけようと決意。仲間の中でも特に異才を放ち、学園内でも天才デザイナーと呼ばれ、注目を集めるジョージ(向井理)の常軌を逸した行動に振り回されながらも、紫はジョージに強く惹かれ、気づけば夢中で恋と夢を追いかけるようになっていく。
彼らのブランド“Paradise Kiss”の洋服は個性的でありながらも時代の流行を取り入れ、世界14ヶ国で翻訳版が出版され話題に。ストーリーは原作に忠実にしつつも、映画版では原作者側の承諾を得てオリジナルのラストになっている。この大人気コミックを『ただ、君を愛してる』(06)、『Life 天国で君に逢えたら』(07)、『僕の初恋を君に捧ぐ』(09)の新城毅彦監督が、登場人物の心情の機微を細やかに演出する。
北川にずっと注目していたという松橋真三プロデューサー。北川は24歳ながら高校生の役を演じるにあたり「抵抗を感じているし、これで(制服は)最後であってほしい」と本音を漏らした。ジョージは20歳以下だが、実写で20歳以下の俳優にすると、ジョージのような色気が出ないと考え、徳森浩行役でオファーしていた向井をジョージ役に抜擢。ジョージについて向井は「挫折をしながら、ちゃんと目標に向かっていく青年。目標があることは幸せで、努力することが大事。実際やりたいことを叶えられてる人って少ないと思うけど、それも人生」と話し、若者にメッセージを送った。今回、女装にチャレンジするイザベラ役の五十嵐隼士は、演じるに当たり、女性の所作を学び、8kg体重を落とし、美容クリニックで髭脱毛を行った。五十嵐は「女性がいかに大変なのかを学びました。片目にまつげ3つ付いてますからね。でもまだ上手くいってないことが多く、さっきも『男っぽい』と言われてしまったのでもっと追求していきたい」と意気込んだ。
また、本作は、劇中に登場する衣裳にも注目が集まっており、人気25ブランド以上が全面協力している。北川演じる紫の制服は、人気ブランド・L'EST ROSEのものとなっており、北川は「モデル時代のことを思い出して、楽しんで着れそう」と胸を躍らせ、向井は「それぞれキャラクターが違うので、見ているだけで楽しいです」と撮影現場をおおいに楽しんでいる様子。五十嵐は「最初に着たのが豹柄だったのですが、楽しくて仕方がなかった! 芽生えそうになりました(笑)」と衝撃的発言をし、笑いを誘った。ロックな身なりが中心となる賀来賢人は「金属アレルギー」と告白すると、その場にいた一同は「えー?」と、ざわめきとともに笑いが起こった。タイトな服が多いため、どの出演者も「体型維持に気を使っている」と口々に話し、北川は「普段すごい食べるしお菓子も好きですけど、お菓子をやめて毎日ジムに行ってます」と苦労を明かした。
新城監督は「原作イメージがあるからハードルが高く、衣裳合わせするまでは不安と期待が入り混じっていた」とプレッシャーを感じていた様子。新城監督同様、出演者もその気持ちは同じなようで北川は「原作にとらわれすぎることなく、原作の世界観を私たちがブチ壊すことのないように気をつけている」と話した。かわいく、女の子らしい実和子を演じる大政絢は「あんまり女の子、女の子しすぎちゃうとブリッコになって、女の子に受け入れてもらえなかったりしちゃう」と気にかけることも多いようだ。
五十嵐は「イザベラならではのマザー・テレサ的な部分に癒されてくれたら」と勘違い(?)発言。これには一同、苦笑いとなり「癒し系?」と疑問に包まれるものの、五十嵐は自信満々に「はい! マザー・テレサなので」と“イザベラ=マザー・テレサ”発言を貫いた。続いて、大政は「実和子は常に笑顔で癒し系の役だと思うので(笑)」と五十嵐をチラ見し、「いつも笑顔でいるけど、将来や恋のことで悩んだりしているので、映画を見て一緒に乗り越えてもらえたらいいな」と呼びかけた。北川は「受験生の時って、いろんなことを人のせいにしたがったり、自分だけが大変な気になって、受験をしている人が偉くて、受験を考えてない人が愚かに感じてしまう。自分もそんな浅はかな考えを持っていた時期があった」と告白し、「紫を通して自分も思い出すことがあって、今では受験させてもらったことを感謝できていると思うし、受験をしなかったとしても自分の夢に向かって頑張ってる友人たちをなぜもっと誇らしく思えなかったんだろうという思いがある」と過去を振り返った。
撮影現場では、向井がセットのダーツで遊ぶ姿や、カットがかかると同時に笑いが起きるなどリラックスした雰囲気が漂っている。8月上旬にクランクインした本作は、10月上旬クランクアップを予定、2011年5月より全国公開予定だ。【MovieWalker】