【今週の☆☆☆】新たな可能性を見せるヒーロー映画『アクアマン』、単なる英雄談に終わらない『ファースト・マン』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。この肌寒い季節でも、思わず映画館に足を運びたくなる、2月8日(金)から今週末にかけての作品をピックアップ!DCコミックスの人気ヒーロー映画から、人類の偉業の裏側に迫るドラマや、信じがたいほどの残酷な人間の振る舞いを描いた実話モノまで、心を揺さぶるような作品をピックアップ!
民族間の誤解や軋轢、親子愛などの要素をまとめ上げた『アクアマン』(2月8日公開)
人間と海底人の血を引くヒーロー・アクアマン。彼の異父兄弟で、海底帝国アトランティスの王となったオーラが、海底の平和を脅かす人類へ侵攻を決意した時、海と地の全面戦争を避けるべく、アクアマンが立ち上がる。一見すると傍若無人な雰囲気を持ちながら、心の中には熱い思いと優しさをあわせ持つヒーローをジェイソン・モモアが熱演。海洋冒険ものとして爽快な仕上がりを見せつつも、民族間闘争が起こる誤解や軋轢、親子愛などの要素が入ったなかなか欲張りな内容となっている。しかし、それらが破綻せずにまとまり、それぞれが見所となって成立する完成度は見事!本作もまた近年のアメコミ原作モノと同様に、新たな可能性を見せる良質なヒーロー映画となっている。(映画ライター・石井誠)
歯応えのある人間ドラマと共に描かれる命がけのミッション『ファースト・マン』(2月8日公開)
月面を歩いた最初の宇宙飛行士ニール・アームストロングの伝記ドラマ。とはいえ、単なる英雄談ではない。1960年代、宇宙飛行術は手探り状態で、テクノロジーは現代よりもはるかにお粗末だった。そんな中で宇宙に飛ぶことは、命の危険を冒すことでもある。ここで描かれるのはアームストロングと仲間たち、それぞれの家族の“死”との対峙。生きて帰れないかもしれない、愛する人を失うかもしれない、そんな恐怖とどう向き合ってきたのかが物語を興味深いものにする。『ラ・ラ・ランド』(16)で多彩な映像術を繰り広げたデイミアン・チャゼル監督は、今回も多種カメラを駆使して宇宙飛行を表現。歯応えのある人間ドラマと共に、命がけのミッションを体感してほしい。(映画ライター・有馬楽)
究極の状況に追い詰められた時、人間は悪魔になれるのか…『ちいさな独裁者』(2月8日公開)
いまだ作られ続ける“ナチス関連映画”の系譜に、またも独自の視点とテーマを持った興味を禁じられない佳作が加わった。しかも信じ難いことに、これもまた実話。究極の状況に追い詰められた時、いかに人間はとんでもない知恵や生命力を発揮し、悪魔になれるのか…。手がけるのはハリウッド映画『RED レッド』(10)や『ダイバージェント』シリーズなどで知られるドイツ出身のロベルト・シュヴェンケだ。ドイツ敗戦直前の混乱期。名もなき一人の脱走兵が偶然ナチス将校の軍服を手に入れ、巧妙な嘘でリーダーになり上がっていく――。傲慢な振る舞いがエスカレートしていく様や、冷徹な将校を気取って脱走兵を虐殺していく姿に、思わず血の気が失せる。同時に“権力”という怪物が、他人事と思えず戦慄せずにはいられない。(映画ライター・折田千鶴子)
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週末に映画が観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス