「既成概念に縛られない、夢を持った挑戦をする」北海道日本ハムファイターズの強さの秘密とは?
球団初の育成選手獲得の意味とは?
各球団が最大70人の(支配下登録)選手を保有し、さらに1軍の試合には出場できない“育成選手”も保有するなか、同球団では育成選手を獲得してこなかった。それは、福岡ソフトバンクホークスや読売ジャイアンツのように3軍制を敷いていないため、余剰な戦力を保持することで、イースタン・リーグの試合に出られない選手を少なくするためだ。
ところが、2018年のドラフト会議では初めて育成選手ドラフトに参加し、同年の甲子園を沸かせた吉田輝星選手の1位指名同様に、ファンの間では最大のサプライズと言われた。これまでは少ない選手でも試合をこなせていたのだが、イースタン・リーグの試合数の増加もあり、選手に負担がかかり、ケガ人が続出した。結果、選手に充分な休養を与えるという意味もあり、育成選手を抱えることになったのだ。そういった柔軟な考え方も同球団は持ちあわせている。
“選手ファースト”の考え方が大谷選手のMLB挑戦を実現させた
大谷翔平選手の“二刀流”を実現させ、早い段階でのMLB挑戦が実現したのはBOSに基づく選手育成はもちろん、他のスポーツでも近年話題となっている“選手ファースト”という考えも大きく影響している。これまではネガティブなイメージの多かった選手のトレードが他球団と比べて多いのも、選手が活躍できる機会を与えるためという考えが根本にあるからだ。
選手ファーストであり、さらに「ファンサービス・ファースト」という活動指針のもと、選手とファンとの交流機会を増やすことでファンの応援意欲を高めるなど、より感情移入できる環境を整えてきた。また、「スポーツ・コミュニティ」という企業理念を掲げ、地域密着を推進する同球団は、約600億円もの建設費用をかけ、2023年に国内初となる開閉式屋根の天然芝の新球場の開業を目指すなど、話題にも事欠かない。
本作『FIGHTERS THE MOVIE ~』では、現役の選手やスタッフだけでなく、ダルビッシュ有選手、大谷翔平選手らも出演し、同球団がどのような歩みをたどってきたのかが語られる。日本のプロ野球の改革に大きく寄与してきた同球団の歴史を振り返る点においても興味深い作品となっているので、3月29日(金)の開幕戦まで待てないという人は、ぜひ劇場に足を運んでほしい。
文/トライワークス