18歳の天才女優・山田杏奈を山戸結希監督が大絶賛!「知性が画面に現れている」
『溺れるナイフ』(16)で鮮烈な商業監督デビューを果たし、乃木坂46の堀未央奈が主演を務める最新作『ホットギミック』(6月28日公開)も控える山戸結希監督が企画・プロデュースを務めたオムニバス映画『21世紀の女の子』(公開中)の「劇場公開記念SPECIAL WEEK」の舞台挨拶が12日、テアトル新宿で開催。山戸を筆頭に、劇中の一編『恋愛乾燥剤』から枝優花監督と主演の山田杏奈、『out of fashion』から東佳苗監督と主演のモトーラ世理奈が登壇した。
本作は、80年代後半から90年代生まれの女性監督15名が集結し、“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーが揺らいだ瞬間が映っていること”を共通テーマに、それぞれ8分以内の短編で表現するオムニバス作品。昨年秋に行われた第31回東京国際映画祭では<インターナショナル版>として上映されて大きな注目を集め、今月8日から短編の順番を入れ替えた新たなバージョンで待望の劇場公開を迎えた。
これまで行われてきたイベント同様、山戸がMCを務めながら舞台挨拶は進行。昨年ロングランヒットを記録した『少女邂逅』(17)で長編監督デビューを果たした枝監督は、今回の作品のキャスティングについて「オーディションをやってもしっくりこなくて、瞳の力がある人がいいと思った時に山田さんが浮かんでキャスティングさせていただきました」と振り返る。一方で山田は「年齢が近い枝さんとやらせていただいたからこそ話せることがいっぱいあって、共感するところがありました」と枝監督と会話を重ねながら役に入っていったことを明かす。
さらに枝監督は「理解が早くて頭がめちゃくちゃ良くて、やりやすかった」と、18歳らしからぬ大人っぽさを携えた山田を絶賛。「現場で『年頃の男の子がカッコつけてやることをダサいって思うことあるよね?』って言うと、すぐに『わかります』って飲み込んでくれた。相手役の男の子の方が年上なのに、山田さんの方が年上に見えてスタッフがざわつくこともありました。本人が持っている頭の良い部分を出せたのかなと思っています」と山田の大人びた魅力について熱弁をふるう。
それにはこれまでの諸作で思春期の少女の心の揺らぎを瑞々しく描きだしてきた山戸監督からも「思春期の役を、思春期のリアルタイムで体現すると言う知性が画面に現れているなと痛感しました」と熱烈な賛辞が贈られ、山田は「リアルタイムのほうが、その時の感性みたいなものをそのまま映しだせる部分があるのかな…」と謙遜を込めた照れ笑いを浮かべた。
また、自身の経験を生かして服飾学生の物語を描いた東監督は、普段はデザイナーとして活動している。「嘘のない話にしたいなと思って、割と真実に基づいた作品です。服飾学生や美大生のきっかけや入口になる作品を作る必要があるなと感じていた」と本作の着想のきっかけを明かし、「この路線で突き詰めて、いつか長編を撮ってみたいと思います」と今後の活動の抱負を述べる。すると山戸監督から「めちゃめちゃブルーオーシャン広がってる気がします!」と期待いっぱいのコメントが寄せられた。
そして最後に「いろんな女の子の姿が描かれているんですけど、男性女性に限らず生きている縮図みたいな感じがする作品なので観るのにすごくエネルギーを使う作品です」と語る山田。「観終わった後に感じたヒリヒリするものを忘れずに、これから映画とかに出演するときには観た人に形になって残るんだと意識して作品作りに関わって行きたいなと思いました」と続けると、東監督は思わず「しっかりしてるなあ…」と感嘆の声を漏らす。さらに東監督から自作を褒められた山戸監督は「みなさんには及びません…。(山戸監督作のタイトル)『離ればなれの花々に』なんてダジャレですから…」と謙遜し、会場の笑いを誘った。
取材・文/久保田 和馬