本家との意外なつながりも?一緒に見ると超楽しい!“ラジー賞とアカデミー賞”
1年の“最高”の映画を選出するアカデミー賞の前日に、“最低”な映画を決めるラジー賞。オスカーのパロディ賞という一種のジョークとして密かな注目を集めるこの賞は、実は本家との意外なつながりもあり、一緒にチェックするとさらに楽しめちゃう!?
“野次”を意味する英単語“Razz”から正式名称は「Razzie Award」だが、Razzのもう一つの意味であるラズベリーや、トロフィーのデザインから「ゴールデンラズベリー賞」とも呼ばれるこの賞。その歴史は1981年創設と意外と長く、今年で39回目を迎える。アカデミー賞同様に、「ゴールデンラズベリー賞財団」という団体の1000人以上の会員投票によって、つまらなくて、くだらない、最低な出来ばえの映画を選考。ちなみにこの団体、なんとも仰々しい名前だが、お金さえ払えば誰でも入れるものだ。
そんなラジー賞はオスカーを意識しており、そのつながりを感じることができる。例えば、“20世紀最低主演男優賞”を受賞するなど、新作が公開される度に標的とされていたシルヴェスター・スタローンは、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされると、名誉挽回賞を受賞。同じく常連だったベン・アフレックも、アカデミー賞作品賞受賞の『アルゴ』(12)や、『ゴーン・ガール』(14)の功績を認められ同じ賞を贈られている。
また不名誉な賞ゆえに、受賞者がほとんど現れない授賞式が話題を集めることも。第25回には『キャットウーマン』(04)で最低主演女優賞を受賞したハル・ベリーが登場し、『チョコレート』(01)で獲得したオスカー像を手に持ち、自身のオスカースピーチをセルフパロディ。第30回で最低主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックは、受賞作『ウルトラ I LOVE YOU!』(09)の大量のDVDを会場で配りまくるというパフォーマンスを行い、器の大きさを見せると、翌日には『しあわせの隠れ場所』(09)で、オスカー主演女優賞を受賞!本家とあわせてチェックするとより楽しめる壮大なジョークとなったのだ。
今年は最低主演男優賞に4年連続ノミネートのジョニー・デップを始め、ある意味、作品のねらい通りとも言えるドキュメンタリー映画『華氏119』(18)のドナルド・トランプ米大統領など、バラエティ豊かな顔ぶれになっていた。見事に(?)受賞したのはトランプ米大統領。最低主演男優賞と最低スクリーンコンボ賞のダブル受賞となり、米大統領顧問のケリーアン・コンウェイも最低助演女優賞となった。
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