4Kでさらに際立つ!“世紀の美男子”アラン・ドロンの妖しい魅力
美しいブルーの瞳から放たれる、憂いを帯びた眼差しで、男女問わず観る者を虜にしてきたアラン・ドロン。映画祭開催中のカンヌの街を、上半身裸でぶらついていたところをスカウトされ、銀幕デビューを果たす…という仰天エピソードを持つ、この誰もが認める圧倒的美男子の美貌を、余すところなく堪能できる『山猫 4K修復版』が、3月17日より公開中だ。
「映画のすべてを教わった」とドロンが語るルキノ・ヴィスコンティ監督との『若者のすべて』(60)に続くタッグとなった本作。1860年、統一戦争のさなかであるイタリアを舞台に、時代の激動に揺れ、貴族社会の終焉を悟っていくシチリアの名門サリナ公爵家の姿を描いた一大叙事詩。ドロンは、サリナ公爵の甥であり、ガリバルディの革命軍の一員として戦いに参加するタンクレディを演じている。
ヴィスコンティ監督といえば、バイセクシャルであることを公言し、恋人関係にあったヘルムート・バーガーなど、男性を美しく撮ることにかけて右に出る者はいないとも言われるが、本作でもドロンの天性の美しさを最高潮にまで引き出している。
例えば、タンクレディの結婚を祝した、映画の1/3を占める絢爛豪華な大舞踏会のシーンでは、タキシード姿で背筋をピンと張りながらも、しなやかさを備えた貴族らしい優雅な振る舞いを披露。これ以外にも赤シャツ隊の制服をまとった男らしい勇猛な姿や、さらには戦いで負傷した目を眼帯で隠すといった演出により、どこか危うげな美しさを帯びた様子まで、さまざまなドロンの魅力をこれでもかと詰め込んでいるのだ。
青く澄んだ瞳が冷酷さも感じさせることから、それまでどこか影のあるミステリアスな役柄で存在感を発揮してきたドロンが、その魅力を残しながらも正統派美男としての風格ある姿を披露し、彼のフィルモグラフィーの中でも異彩を放っている『山猫』。4K版でさらに美しくなった彼の麗しの姿を見逃すわけにはいかないぞ!
文/トライワークス