DCヒーロー最新作『シャザム!』監督が語る、“最高のエンタテインメント”が出来るまで

インタビュー

DCヒーロー最新作『シャザム!』監督が語る、“最高のエンタテインメント”が出来るまで

早くもヒーロー映画の最高傑作の一つ!との声も出始めた『シャザム!』(4月19日公開)。爽快なヒーロー映画でありながら、ワクワクするような少年冒険ものであり、少し怖いところも。それもそのハズ、監督は『ライト/オフ』(16)、『アナベル 死霊人形の誕生』(17)のデヴィッド・F・サンドバーグが務めているのだ。あらゆる映画のおもしろさがつまった『シャザム!』を完成させたばかりのサンドバーグ監督に、本作の制作秘話を聞いた。

『ライト/オフ』(16)、『アナベル 死霊人形の誕生』(17)のデヴィッド・F・サンドバーグ監督
『ライト/オフ』(16)、『アナベル 死霊人形の誕生』(17)のデヴィッド・F・サンドバーグ監督[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

主人公は身寄りのない思春期ど真ん中の少年、ビリー。ある日突然、魔術師からスーパーパワーを手にしたビリーは、友人のフレディと一緒に、悪ノリ全開でスーパーパワーをムダづかいしてゆく。そんなビリーの前に、スーパーパワーを狙う科学者Dr.シヴァナが現れ、フレディがさらわれてしまう…。

「シャザムは最高のヒーロー!監督を断るなんて、もったいなくて出来ませんよ(笑)」

サンドバーグ監督は、シャザムを“最高のヒーローの一人”と語る
サンドバーグ監督は、シャザムを“最高のヒーローの一人”と語る[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

――『シャザム!』すばらしい作品でした!批評家やファンの間でも大絶賛されていますね。いま、この映画はいける!と手応え感じていますか?

「ありがとう!そういう声は沢山届いていてワクワクしています。早く多くの観客の皆さんに観ていただきたい。自分としては、この新しいヒーローを皆さんに紹介できるのがうれしいです。1940年代ごろにデビューした時はスーパーマンをしのぐぐらいの人気キャラでしたが、ずっと忘れさられたヒーローでもあったんです。映画を通じて、またいまの時代に届ける役を担えて光栄です。間違いなくシャザムは最高のヒーローの一人ですから」

――監督にはホラー映画のイメージが強くありますが、なぜ本作に抜擢されたんでしょう?

「僕も驚いてます(笑)。オファーを受けたのはちょうど『アナベル 死霊人形の誕生』の製作が終わった頃です。前々から違うジャンルの映画もやってみたいと言っていたから声がかかったのかな?『アナベル 死霊人形の誕生』と同じ孤児たちの物語でもあるし、魔法など少し怖いところも『シャザム!』にはあるから、適任と思われたのかもしれません。元々映画会社はシャザムとブラック・アダム(編集部註:シャザムのライバルともいうべきダークな超人。ドウェイン・ジョンソン主演で映画化予定)の戦う映画を考えていたのですが、あまりに壮大な話になりすぎて、まずキチンとシャザムを紹介する映画を作りましょう、ということになり、僕がやることになった。ゼロからのスタートになったので週一回、プロデューサーや脚本家とジックリ話すことが出来ました。それは楽しかったし、だから“自分の作品”にもなれたのだと思います。いままで以上の大作でプレッシャーもありましたけど、『シャザム!』の監督を断るなんて、もったいなくて出来ませんよ(笑)」

「幼稚ではない、本当の思春期の少年を描きたかった」

ビリー少年役のアッシャー・エンジェルはハマリ役!
ビリー少年役のアッシャー・エンジェルはハマリ役![c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

――『シャザム!』がこれからのDCヒーロー映画と同じ世界観になっていくのは予想できるのですが、アナベル人形が劇中出てきますよね。まさか「死霊館」ユニバースとも関わってくるのですか?

「(笑)。『アクアマン』にもアナベル人形が出てきますよね(註:『アクアマン』の監督ジェームズ・ワン監督は『死霊館』シリーズの生みの親)。もしかするとDC映画と『死霊館』ユニバースはつながるかも、ですよ(笑)」

――そのジェームズ・ワン監督から、なにかアドバイスはありました?

「実はオフィスは同じだったんですが、(『アクアマン』はオーストラリアで撮影していたため)撮影場所も違うし、殆ど話す機会はなかったんです。ただ撮影終了のあと、編集室ではちょうどジェームズが『アクアマン』の編集をやっていて、海中バトルのシーンを見ることが出来ました。『シャザム!』には空中戦があるので、水中の無重力な感じの戦いは参考になりました」

――この『シャザム!』はとてもコミカルでいままでのヒーロー映画と違います。コミカルなヒーロー映画で成功した例と言えば「デッドプール」シリーズがありますが、意識しましたか?

「『デッドプール』は僕も大好きで、第四の壁という力で観客に話しかけるみたいな“掟破り”な演出も楽しいですよね。ただ、この『シャザム!』は、確かに笑えるところも多いですが、ビリー少年の寂しさなど感情に訴える要素もある。コメディ調のヒーロー映画とは違った正統派のヒーロー映画です。もちろん、全体的にはとても楽しく作ってますけどね」

――その楽しさを担っているのが2人のキャストだと思うんですが。

「“中身は子どもの大人”を演じてもらうということでオーディションをしたのですが、ザッカリー・リーヴァイがドンピシャでした。彼しかない!という感じです。オーディションで、テスト演技したテープを見たんですが、ザッカリーはこのキャラを本当に理解していました。というのも、“中身は子どもの大人”のキャラというと、みな子どもっぽさを出そうと思ってわざとおバカに、幼稚っぽく演じるのですが、本当の子ども、思春期の少年はそうではない。ザッカリーは思春期の少年だったらこういうことするだろう、ということがわかっていた。そしてザッカリーが決まってからビリー少年役を選びました。シャザムとビリーはどこか似てなければならないから、アッシャー・エンジェルくんはピッタリでしたね」

「『富江』のハリウッド実写版を作るなら監督したい!」

プレミアではこんなお茶目な一コマも
プレミアではこんなお茶目な一コマも[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

――監督自身、コミックがとてもお好きだと伺ったのですが、日本のコミックも好きですか?

「もちろん、日本のMANGAは大好きだよ!『ONE PIECE』『AKIRA』『ドラゴンボール』や『銃夢』(『アリータ:バトル・エンジェル』の原作)などが好きですね。それと、(伊藤潤二のホラー漫画)『富江』の大ファンです。ハリウッドで実写版を作るなら監督したいな(笑)」

――ぜひ観たいです!最後に日本のファンに『シャザム!』についての熱いメッセージをいただけますか?

「とにかく本当に観てほしいヒーロー映画です。少年が一瞬にしてヒーローに変身するという、“すばらしい、かっこいい人になりたい”という願望を描いているから、誰でも共感できると思う。そして映画自体にも、ワクワクするような冒険、アクション、ユーモアと、あらゆる楽しさが詰まっています。僕自身が子どもの頃、『グーニーズ』や『ビッグ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て楽しんだ、あの手ざわりを盛りこみました。僕が、映画という最高のエンタテインメントに求めるすべてが入っています。楽しんでください!」

『シャザム!』の魅力を深堀り!
『シャザム!』の魅力を深堀り![c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

取材中も、終始監督はノリノリで早くみんなに観てもらいたいという気持ちが伝わってきました。監督自身が、シャザムのように“子ども心”を持った方なのですね。正統かつストレートなヒーロー映画でありながら、いままでのヒーロー映画にはなかった楽しさを併せ持つ『シャザム!』。観終わった後、きっと「シャザム!」と叫びたくなりますよ。

取材・文/杉山すぴ豊

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