女優たちが濃厚に絡み、愛撫し合う…『リング』監督の新作が官能的で怖い!?
『リング』(98)、や『貞子』(5月24日公開)など、ジャパニーズホラーの旗手として、国内外で高い評価を集める中田秀夫監督。最近では、定年後にすることがない男の悲哀をユーモラスに描いた『終わった人』(18)など、新たな領域にも足を踏み出している。そんな彼の最新作『殺人鬼を飼う女』が、4月12日(金)より公開。こちらも一筋縄ではいかないことになっている!
『殺人鬼を飼う女』は、大石圭による同名小説を映画化したサスペンスホラー。ビストロで働くキョウコ(飛鳥凛)は、幼い頃に義父から受けた性的虐待により解離性人格障害を患い、その経験や男好きの母への嫌悪から、決して異性を好きになることなく生活を送っていた。そんなある日、憧れの小説家・田島(水橋研二)が隣の部屋に越してくると、キョウコは恋心を抱き、距離を縮めていく。だが、彼女の周りで不可解な死が相次ぐようになり…。
エレベーターの窓に映る不気味な笑みを浮かべた謎の人格など、さすが中田監督という不安感をあおる心理的恐怖演出もさることながら、何よりも目を引くのが、情感たっぷりの性愛シーンだ。本作は多重人格を抱える1人の女性を4人の女優が演じるという試みがなされており、主人格のキョウコとレズビアンでキョウコを愛するナオミという別人格が、互いに愛撫し合ったり、田島と3人の人格が絡み、乱れ合うという特殊なプレイなど、妖艶かつダイナミックなエロスが炸裂しているのだ。
中田監督は、もともと日活ロマンポルノの巨匠と呼ばれる小沼勝監督の下で助監督を経験しており、2000年には小沼監督に迫るドキュメンタリー『サディスティック&マゾヒスティック』を監督していたりと、ロマンポルノへの造詣が深い人物。本作でも事前にスタッフや代役で入念な準備を行い、限られた時間の中で、様々なパターンを検証したというから驚き。ロマンポルノ再始動プロジェクトで中田が監督を務めた『ホワイトリリー』(16)でも主演に抜擢した飛鳥凛と再タッグを組むなど、こだわりが詰まっているのだ。
中田監督が得意とするエロスとホラーが相まって、官能的でおぞましくもどこか耽美的な作品となっている本作。劇場に足を運んで、その世界観を味わってみてほしい。
文/トライワークス