アニメ&演劇ファンから支持される『プロメア』脚本家、中島かずきの魅力とは?
テレビアニメ「天元突破グレンラガン」「キルラキル」の監督&脚本コンビによる完全新作の劇場版アニメーション『プロメア』(公開中)。本作の監督・今石洋之と共に注目を集め、多くのクリエイターが作品の執筆を望む脚本家、中島かずきの魅力はどんなどころにあるのだろうか?
個性的なキャラとダイナミックなストーリー展開
前述した2作品のほか、TVシリーズ「仮面ライダーフォーゼ」でもメインライターを務めるなど、アニメ・特撮ファンにもその名を知られるようになった中島かずき。だがやはり、その名を知らしめたのは、1985年から加わり、現在も座付き作家として数々の作品を送り出す劇団☆新感線での仕事ぶりだ。
主人公だけでなく、脇役までもが一目見たら忘れられないような個性的なキャラクターや、それぞれのキャラクターのバックボーンにまで迫った感情移入しまくりの奥深い人間ドラマ、まるで観客をあざ笑うかのような劇的なストーリー展開など…。彼の作品の多くにはこういった要素が含まれ、エンターテイメント性にあふれている。
歌舞伎的な要素を取り入れた斬新な見せ方!
特に劇団☆新感線で彼が手掛ける“いのうえ歌舞伎”と呼ばれるシリーズは、神話や史実などをモチーフとしたケレン味を効かせた時代活劇もので、歌舞伎と名のつくように登場人物たちが見栄を切ったり、劇中で拍子木を鳴らして場面転換を行ったりと、歌舞伎的な要素が満載である。
そんな中島の手法は「天元突破グレンラガン」などでも健在。主人公シモンの兄貴分カミナが毎回、七五調の口上を言うさまはまさに歌舞伎的で、『プロメア』の主人公ガロ・ティモスが敵対するマッド・バーニッシュのリーダー、リオ・フォーティアとのバトル中に見栄を切ったりするのも、ファンからすればもはやお決まりといった感じで心地よくもある。
本作では主人公のガロだけでなく、敵であるリオやガロの憧れの存在であるクレイ・フォーサイトといったキャラクターも一筋縄ではいかない存在であり、彼らが置かれている状況などが少しずつわかるにつれ、物語の世界観にグイグイと引き込まれてしまう。
また、ガロ役の松山ケンイチ、リオ役の早乙女太一、クレイ役の堺雅人がそれぞれ劇団☆新感線の舞台経験者であり、中島ならではのセリフ回しに慣れていたというのも大きい。本作はもちろん、劇団☆新感線や他のアニメ作品における中島かずきの仕事ぶりを、この機会に観比べてみるのもいいだろう。
文/トライワークス