サプライズプランナー・成江美里×松本花奈が語る、驚きの先に待つ“愛”の話【後編】
注目の現役女子大生映画監督・松本花奈による、日々雑感エッセイ「松本花奈の恋でも恋でも進まない。」が、「DVD&動画配信でーた」で好評連載中。Movie Walkerの特別企画として、松本監督が”いま気になる人”に、質問を投げかけます。今回は連載第8回のテーマ “想像できない” について、サプライズプランナーの成江美里さんにお話を伺いました。成江さんは20歳の頃、母からの告白と、自身に向けられていた深い愛を想い、この仕事を志すきっかけになったそう。後編ではいよいよ、今後の夢を教えてもらいます…と思いきや、思わぬ展開が!?
成江「その後もやりたい事は見つかっていなかったので、いろんな世界を見るため世界一周の旅に出たのですが、『愛』の大切さをより痛感しました。一番印象に残ったのは世界中に散らばる、たくさんの戦争の跡です。ショックを受けました。自分になにか出来ることはないかと考えた時に理想論かもしれないけど、『愛』があればこんなことは起きなかったんじゃないかと考えました。皆の心の中に必ず『愛』は存在しているのだから、なくさないで、ちゃんと伝え合える社会を作りたいと思うようになりました」
松本「すてきです」
成江「ただそこから具体的にどうすれば良いのかが分かっていなくて。『私は愛のある空間を作りたいんだ』とだけは分かっていたのでその想いをコンパスにして、カフェやゲストハウスを作りそこで子どもたちに『愛』について教える機会や、国境のない空間を作ろうとしたりなど、色々と模索していました。それで、ハワイ島のコーヒー農園に働きに行っていたんです。ただ英語が流暢でないこともありホストファミリーと打ち解け合えず、心の居場所がないと感じていました。そんななか、とある休日に1人で街に下りていったのですが、そこでちょうどクリスマスショーが開催されていました。サンタクロースたちが踊ったりしゃべったりしている様子を見て皆がとても楽しんでいて。で、私も輪に入れてもらい、その時に初めてハワイ島の人たちと打ち解けられたような気がしました。言葉の壁を取っ払って、皆でショーを楽しんでいる瞬間に、何というか、愛を感じたんですよね。それでその時に、私が作りたい愛のある空間というのはイベントで作り出すことが出来るのでは?と閃きました。翌日、いつものようにコーヒー農園で雑草を抜いていた時にふと、18歳から作っている自分ノートの中に、“サプライズ”というワードがあったことを思い出しました。自分ノートというのは、自分の好きなことや年表、その時々の思いなどを書いているものなのですが、自分の中で、これだ、と思いました」
松本「それまで考えていたことの点と点が、一本の線になった感じですね」
成江「そうです。それで帰国していまの仕事に就くことを決めました」
「これからやってみたいことは“人生個展”です」
松本「これからやってみたいことなどはありますか?」
成江「”人生個展”がしたいです」
松本「“人生個展”。すごく気になる…。具体的にはどういうものでしょうか?」
成江「各々の人生にフォーカスを当てて年表などを作り、当時の写真や思い出の品、人生に関わった大切な人の写真やその人に当てたメッセージなどを用意して、人生を一つの個展として見せる。そうすることでその人が自分の人生を振り返り、頑張って生きてきたことや誰かに愛されていたことなどに気付き、自分の人生を愛せるように、そして周りの大切な人に愛を伝えられるようになることが目的です。また、やりたい事が分からないという見ず知らずの若者だったりも自由に入れるように解放して、そんな人たちが色んな人生に触れ、やりたい事や興味のある分野などに気付いたりできる機会を作ることで、人生に悩む人の力になれたら、とも思っています。この人生個展は、もちろん自身で作ってもいいですし、サプライズで作っても素敵だと思っています。例えば、還暦を迎えるお母さんの人生個展を娘がこっそり準備して、家族や友人などが集まりサプライズでお迎えするとか」
松本「ぜひ『松本花奈』展もいつかやって欲しいです」
成江「もちろんです(笑)!ずっと世の中に対して違和感があるのが、偉業を成し遂げた人だけがスポットライトを浴びているなと思っていて。もちろん、人のため、世の中のために努力した人がスポットライトを浴びる事は当然だとは思うのですが、どうしてその人たちだけなんだろうと。一見平凡に思える人も、沢山悩んで、沢山涙流して、沢山笑って、誰かを愛し幸せにしてきた人生があるのだから、一人一人の素晴らしい人生にスポットライトを当て世の中にシェアできる機会を作りたいです。そして私自身も、自分の人生や、家族などの大切な人たちを心から愛しその愛を伝えながら、今後もライフイベントを通して「愛のある空間」をつくり続け、心豊かで幸せに生きる人を増やすための活動をしていきたいと思っています。その活動が世界を1ミリでも平和に近付けられていけたら本当に幸せです」
松本「成江さんの今後の活動がすごく楽しみです」
成江「ありがとうございます。そしたら最後に…松本さんにサプライズで花束をあげますね」
松本「え!?」
成江「サプライズプランナーなので(笑)」
松本「ちょっと待って下さい…。しかもお花の種類ごとにメッセージカードがついている…」
成江「松本さんのこれまで創られてきた作品をいくつか拝見して、作品ごとのテーマに沿ったお花を選んでみました。カードには作品への感想を書いています。名付けて、“花奈”束です(笑)」
松本「え、ちょっと予想外のことすぎて戸惑いと嬉しさでパニックになっています」
成江「ふふ(笑)、喜んでもらえたのなら良かったです」
松本「ありがとうございます。完全にしてやられました(笑)」
●成江美里
1994年生まれ。和歌山県出身。2018年に株式会社スペサンが運営するサプライズプロデュースチーム「サプライズホリック」に参画。チームメンバーとして様々なサプライズの企画から当日施工までを手掛ける。現在は写真展やオリジナルブックのおくりものプロデュースチーム「ハモン」にて広報などに携わる。ウェディングなどライフイベントの分野でも活動中。
取材・文/松本花奈