前田敦子が違和感ゼロのヤンキー風JKに!高畑充希、岩田剛典、太賀も制服姿を披露<写真24点>
第20回手塚治虫文化賞で斬新な表現や画期的なテーマなど清新な才能の作者に贈られる新生賞を受賞した安藤ゆきの同名少女漫画を、『舟を編む』(13)や『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)の石井裕也監督が実写映画化した『町田くんの世界』(公開中)。演技経験ゼロの新人2人が主演を務めるという異例のキャスティングが大きな話題を集めている本作のもうひとつの注目ポイントは、彼らを支える超豪華な共演陣。なかでも岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀の4人はなんと高校生役に挑戦。初々しい主人公2人を支え、見守る学友の姿を違和感なく演じている。
本作はニュータイプの主人公“町田くん”が周囲の人々を巻き込みながら、生まれて初めての“わからない感情”と向き合っていく姿を描いた予測不能な人間賛歌。見た目は優等生なのに勉強は苦手、運動神経はゼロに等しく要領も悪い地味な高校生、町田一。人を愛する才能だけはズバ抜けている彼は、ある日保健室で“人が嫌いな”猪原奈々と出会う。それそきっかけに、優しさに溢れていた町田くんの世界に大きな変化が訪れることに…。
主人公の町田くんを演じる細田佳央太と、猪原さん役の関水渚はともに1000人を超えるオーディションで大抜擢された新星。石井監督は細田について「この人と組めば間違いない思わせられました」と明かし、関水についても「“異質”と言わざるをえないくらい不思議な人」と、2人の類稀なる存在感を絶賛。その2人と石井監督が絶大な信頼を寄せる名実ともにトップクラスの俳優達が交わることによって、“超新人”2人の魅力を余すところなく引き出すことに大成功。
「打てば響くという達者な役者ばかりでおもしろかったです。誰か1人『こういう風にしたほうがいいんじゃないか』といえば、他の方も呼応していく。でも主演はあくまでも2人の新人。何の経験もない俳優と対峙した時に、プロの俳優はやはり危機感みたいなものを感じるはずです。自分たちの技術や引き出しにない反応を新人たちがする。だからお互いにいい刺激をしあったんじゃないかと思います」と、石井監督は撮影現場を振り返った。
学校一の人気者である氷室雄役を演じた岩田は、オムニバス映画『ウタモノガタリ -CINEMA FIGHTERS project-』(18)の一編『ファンキー』に続いて石井監督とタッグ。「石井監督が少女漫画原作をやるの?という驚きが一番最初にあって、どうなるんだろうとさっぱり想像がつかなかった」と、石井監督のチャレンジングな姿勢を振り返りながら「クラインクイン前に2人の芝居をめちゃくちゃにしてほしいと言われ、別の意味でプレッシャーがありました(笑)」と告白。
『バンクーバーの朝日』(14)以来のタッグとなった高畑は、町田くんの後輩の高嶋さくら役。「26歳(撮影当時)にもなって制服を着て高校生活ができたのも嬉しかったし、主演2人のピュアな美しさを近くでずっと見てられることにとてもドキドキしました」と明かし、町田くんと猪原さんを見守る、ヤンキー風のファッションや喋り方が印象的な同級生の栄りら役をコミカルに演じた前田も「すごく普通の青春なんですけど、普通で可愛いなって思いました」と2人に温かな眼差しを送る。
また猪原さんに恋をする西野亮太役を演じた太賀も「改めて青春を体現すること、それは痛いし辛いし全然甘くない。でも監督を信じてとにかく食らいついて行く毎日でした」とコメント。それぞれが高校生として全力で役柄に入り込み、町田くんと猪原さんとともに青春を謳歌していたようだ。
先月7日に行われたジャパンプレミアで撮影時の裏話を語ったキャスト陣。慣れない撮影現場で緊張しきっていた細田と関水の2人に対し、彼ら4人が気さくに話しかけて緊張をほぐしたというエピソードが語られたが、太賀は「超新人の2人を前に先輩らしくしたかったんですが、こちらもガチガチに緊張していて(笑)」とまさかの告白。また関水は、前田からもらった日焼け止めを今でも袋に入れて保管していると嬉しそうに語る一幕も。
実年齢差を一切感じさせない絆の深さを感じさせた4人の実力派俳優たちと、2人の超新人。彼らが劇中でどのような世界を築き上げているのか。そして違和感ゼロに高校生役を演じきった4人の演技力の高さと、いままでのどんな映画の主人公とも違う魅力を放つ町田くんのキャラクター。見どころが盛りだくさんに詰まった本作を、是非とも劇場で堪能してほしい。
文/久保田 和馬