「ガンダム」「ジブリ」のスタッフが結集!“幻”の超大作アニメ『ヴイナス戦記』の魅力<画像34点>
1989年の公開以来30年間に渡り“封印”され、アニメファンの間で“幻の名作”と語り継がれてきたSFアニメ『ヴイナス戦記』が、ついにその封印から解き放たれた。
「機動戦士ガンダム」シリーズのキャラクターデザインを担当し、漫画家としても第19回日本漫画家協会賞優秀賞など数多くの賞に輝く安彦良和が原作・監督・脚本を務めた本作。金星で生まれ育った若者たちが大戦の中で翻弄されながら、生きる目的と意味を見出していく姿が描きだされた原作の設定を活かし、このアニメ映画版では主人公が権力の象徴である重戦車に立ち向かう姿に重きを置いたオリジナルストーリーが展開していく。
物語の舞台は人類の移住から70年が経過し、大陸を二分する自治州同士の戦争と温暖化の危機にさらされた金星。未来に対する不満を、死と隣り合わせの危険なバイクレース“ローリングゲーム”にぶつけて過ごしていた少年ヒロは、戦火によってその日常を奪われてしまう。怒りを爆発させたヒロは仲間たちと共に立ち上がり、戦場へと飛び込んでいくのだが、そこで非情で残酷な戦争の現実を目の当たりにすることに…。
主人公ヒロの声を務めるのは公開当時人気絶頂だったアイドルグループ「少年隊」のメンバー、植草克秀。ヒロインであるマギーの声には2016年に51歳の若さでこの世を去った水谷優子。ほかにも佐々木優子、納谷悟朗、大塚芳忠、玄田哲章といった豪華な顔ぶれが集結。またスタッフ陣も、本作の後に「シティーハンター」シリーズを手掛ける神村幸子が作画監督を務め、編集には『AKIRA』(88)や数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた瀬山武司。そして音楽監督には、北野武監督作やスタジオジブリ作品で知られる久石譲と、一流のスタッフが勢ぞろいしている。
公開された80年代から90年代にかけては、高密度作画の劇場用アニメ映画が隆盛を極め、その後のアニメ界に多大なる影響を残す作品が次々と生み出された時代。その中でも他の作品を凌駕する圧巻のクオリティを誇った本作ではあるが、安彦監督の意向により封印されることとなり、長らく日の目を見ることはなかった。
そして時代は流れ、アニメや映画を取り巻く環境が大きく変貌を遂げたいま、満を持してデジタル・リマスター化。公開当時以上の輝きを取り戻し「公開30周年プロジェクト」が始動することとなった。先月行われた上映イベントでは、長らく封印が解かれる瞬間を待ちわびていた往年のアニメファンをはじめ、その全貌を知るすべもなかったアニメファンをも魅了。大きな話題を集めることに。