【今週の☆☆☆】先読み不可能なエンタメ映画『ハッピー・デス・デイ』、日韓の演技バトルが熱い『新聞記者』など週末観るならこの3本!

コラム

【今週の☆☆☆】先読み不可能なエンタメ映画『ハッピー・デス・デイ』、日韓の演技バトルが熱い『新聞記者』など週末観るならこの3本!

Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。ジメジメとした梅雨の空気感を吹き飛ばすような、6月28日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。ホラーからSF、ミステリーへと展開するエンタメ作、記者と官僚の対峙を描く骨太なサスペンス、モノクロ映像の壮大なラブストーリーなど、バラエティあふれる作品ばかり!

週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MovieWalkerに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

ビッチだったヒロインがどんどんチャーミングになる!『ハッピー・デス・デイ』(6月28日公開)

ヒロインが殺される誕生日を何度も繰り返す!(『ハッピー・デス・デイ』)
ヒロインが殺される誕生日を何度も繰り返す!(『ハッピー・デス・デイ』)[c]Universal Pictures

先読みの達人でも、本作の展開を予想するのは不可能だ。誕生日の夜にマスク姿の殺人鬼に殺された女子大生が悲鳴とともに目覚めると、その日の朝に逆戻り。タイムリープにはまりこみ、殺されては目が覚めて…を繰り返す、彼女の奔走が展開。ホラー風に始まった物語はSFに転調するばかりか、犯人捜しのミステリー、ヒロインの悪戦苦闘を笑いとともにとらえたコメディ、アクション、ラブストーリー、そしてなんと感動のドラマへ!そんな映画を破綻なく作ることが可能なのか?疑問をぬぐえない方にこそ、ぜひ観てほしい。練りこまれた脚本はもちろん、最初こそビッチだったヒロインがどんどんチャーミングになっていく展開も魅力的。これぞエンタメ映画の奇跡と言い切ってしまおう!(映画ライター・有馬楽)

フィクションの力で“メディアの問題点”に鋭く斬り込む『新聞記者』(6月28日公開)

『怪しい彼女』のシム・ウンギョン×松坂桃李が共演のサスペンス『新聞記者』
『怪しい彼女』のシム・ウンギョン×松坂桃李が共演のサスペンス『新聞記者』[c]2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

東京新聞社会部記者・望月衣塑子の同名ベストセラーが原案だが、『青の帰り道』(18)、『デイアンドナイト』(19)で確かな手腕を印象づけた藤井道人監督による本作は、ルポルタージュの原作とは違い、フィクションの力でメディアの問題点に鋭く斬り込んでいるところがとにかくすばらしい。しかも、政権の疑惑に迫る女性記者を『怪しい彼女』(14)などの韓国の人気女優シム・ウンギョンが、現政権に不都合な情報を操作する内閣情報調査室(内調)のエリート官僚を松坂桃李が演じ、2人による白熱の演技バトルで“権力とメディア”“組織と個人の正義”の せめぎ合いをスリリングに炙り出すからスクリーンに目が釘づけになる。いままで見たことのない、松坂桃李の表情の数々にも心が揺さぶられるはずだ。中でも、ラスト2シーンの彼の顔は、モヤモヤとした気持ちと共に、いつまでも脳裏に焼きつけられるに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)

男と女のある意味で相当にワガママな生き様に言葉を失う『COLD WAR あの歌、2つの心』(6月28日公開)

別れと再会を繰り返すピアニストと歌手の愛をモノクロの映像で映しだす(『COLD WAR あの歌、2つの心』)
別れと再会を繰り返すピアニストと歌手の愛をモノクロの映像で映しだす(『COLD WAR あの歌、2つの心』)[c]OPUS FILM Sp. z o.o. / Apocalypso Pictures Cold War Limited / MK Productions / ARTE France Cinema / The British Film Institute / Channel Four Televison Corporation / Canal+ Poland / EC1 Lodz / Mazowiecki Instytut Kultury / Instytucja Filmowa Silesia Film / Kino Swiat / Wojewodzki Dom Kultury w Rzeszowie

ポーランド映画でありながら、今年のアカデミー賞で主要部門にノミネートされた話題作。タイトルの通り、冷戦時代の閉鎖的な世相を背景に、ピアニストの男と歌手の女の愛憎関係を美しいモノクロ映像で描き出す壮大なラブストーリーだ。この説明で決して間違っているわけではないのだが、おそらく本作を観る人の多くは「アートな文芸映画」という先入観とはまったく違う印象で劇場を出るはず。というのも、主人公のカップルは「激動の歴史に翻弄される男と女」みたいなありふれた表現ではまったく収まらない、超自己チュー人間たち。しかも物語のテンポが速い!大河ドラマのように長い歳月を、たった90分弱で描き切ってしまうのだ。政治のことも他人のことも関係ない。ただただ自分と愛する人と音楽のことだけを考えて生きる、ある意味で相当にワガママな生き様に言葉を失う。大胆かつ刺激で、一刻も目が離せない音楽メロドラマである。(映画ライター・村山章)



週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/トライワークス

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