“卒業”への想いとは?齋藤飛鳥&与田祐希が明かす、乃木坂46のいま
2011年の結成以来、着実に実力と人気を積み上げ、いまや国民的アイドルグループへと成長を遂げた乃木坂46の活動を記録したドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』が公開中だ。23rdシングル「Sing Out!」でセンターを務める齋藤飛鳥は「私って、あまりメンバーのこと知らなかったんだなって感じました」と、本作を観て感じた率直な想いを語る。「いまのグループの状況や卒業のこと。どういう風にグループを見ているのかが描かれていて、みんながちょっと先を歩いている。私ももっと考えなきゃいけないのかな…」。
乃木坂46にとって『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』(15)以来4年ぶりのドキュメンタリー映画となる本作で映しだされているのは、初のシングルミリオンセラーと日本レコード大賞受賞を果たした2017年から、2会場同時ライブの成功と日本レコード大賞連覇を達成した2018年、そして絶対的エース、西野七瀬の卒業。メンバーたちの想像を上回るほど大きなグループになっていく乃木坂46のなかで、グループとしての活動と個人での活動を両立していくメンバーの姿をはじめ、戸惑いと葛藤を経て成長していく少女たちの“自分探し”の様子が切り取られていく。
1期生として加入した当時、最年少メンバーだった齋藤。2016年に発売された15thシングル「裸足でSummer」で初めてセンターに抜擢されると、その後グループの中心メンバーとして絶大な人気を獲得。昨年には映画『あの頃、君を追いかけた』(18)でヒロインを演じるなど、アイドルの枠を超えて女優やファッションモデルとしても活躍。彼女は本作のなかで、地元の成人式や中学校の同窓会に参加するなど、自身の過去と向き合っていく。「乃木坂に加入してからは地元に1回も帰っていなくて、なんとなくどこかでモヤモヤしていた。でも今回帰ったことで、地元での自分や昔の自分、その頃の環境とかそんなに悪くなかったのかなって思えて。すごくいい経験になった」と密着取材によって一歩進めたことを振り返る。
一方で2016年に3期生として加入し、翌年18thシングル「逃げ水」で同期の大園桃子とダブルセンターを担当して以来、3期生を牽引する存在として活躍をつづけている与田祐希は、前回のドキュメンタリー映画を観たことがきっかけで、乃木坂46というグループを好きになったことを明かす。「今回、自分がグループの内側に入ったことで見え方はすごく変わっていたけれど、前作の時になにも知らない状態で観て感動した気持ちを思いだすことができました」と語り、本作を観て号泣したことを告白。「観ながらずっと泣いていたんですけど、映画のなかでもすごく泣いていて…。自分ってこんな感じなんだなって知りました」と照れくさそうに笑った。
本作で最大のテーマとして取り上げられるのは“卒業”。昨年末でグループを卒業した西野をはじめ、昨年5月には生駒里奈、11月には若月佑美、そして今年3月には衛藤美彩と、主要メンバーの卒業が相次いでいる。「男性のアイドルはずっと長くやっている方もたくさんいるのに、女性では30代や40代までアイドルと呼ばれている方はあまりいない。その文化の違いはすごく不思議だなあと思います」と齋藤は、昨今の女性アイドルに必ずといっていいほど訪れる“卒業”という風習に疑問を感じていることを明らかにした。
しかし「自分のことになるとまだわからないですけど、卒業自体にそんなにネガティブなイメージは持っていないです」と断言。「乃木坂はすごく変化が大きいグループだから、ファンの人たちのなかでも戸惑っている方がいるということは実感している。過去を否定せずに、昔の頃の思い出を大事にされる方がいるというのはとても美しいことだと思います。だからこそ、私たちはどうやったらいまの乃木坂を受け入れてもらえるのか、難しいと感じながらも考えています」と語った。
また与田も「自分の卒業についてはまだ考えたこともないです」と語った上で「これまではずっと“卒業”って寂しい気持ちが大きくて、七瀬さんの卒業コンサートの時にはものすごく泣いていたんです。でも、卒業されていく先輩たちはみんな前向きでキラキラしている。その姿を見て、その分これから頑張らなきゃいけないと思えるようになりましたし、いつかもし自分が卒業する時が来たら、先輩たちみたいな姿で卒業できるようにしたいなって思っています」。
取材・文/久保田 和馬