【連載】「尾崎由香のぴゅあっとムービー」8月 今月の映画:『引っ越し大名!』
映画好きで知られる声優・尾崎由香が、鑑賞した映画や自身のあれこれについて語る「尾崎由香のぴゅあっとムービー」(「月刊シネコンウォーカー」&「月刊イオンエンターテイメントマガジン」連載中)。今月は、「超高速!参勤交代」を手がけた土橋章宏による時代小説を、星野源、高橋一生、高畑充希らの豪華共演で映画化した『引っ越し大名!』(8月30日公開)を取り上げる。
姫路藩藩主の松平直矩(及川光博)は、ある日、幕府から豊後(大分県)の日田への国替え(引っ越し)を言い渡され、頭を抱えていた。莫大な費用がかかる遠方への国替えは、財政事情が苦しい藩の存続を揺るがす一大事業。その成否は、すべてを取り仕切る“引っ越し奉行”の手腕にかかっているが、前任者は激務が原因で亡くなっていた。
そんな中、「いつも本ばかり読んでいるから」という無茶苦茶な理由で、人と接するのが苦手で書庫にこもりきりの書庫番・春之介(星野)が引っ越し奉行に任命されてしまう。重大な任務を背負ってしまった春之介は、幼なじみで武芸の達人・源右衛門(高橋)や、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭(高畑)の力を借りながら奮闘するが…。本連載初の日本映画となるこの作品を、彼女はどのように観たのか?
引っ越しは自分を変えるいい機会ですね
『引っ越し大名!』、とてもおもしろかったです! 歴史がちょっと苦手で時代劇ものの映画はあまり観てこなかったんですが、“引っ越し”がテーマだからどこか身近に感じられるし、全然難しくなく、楽しく観られました。ミュージカルっぽく唄を歌うシーンも出てくるし、気軽に笑って観られるから、若い子にもおすすめしたいですね。
この映画、魅力的なキャラクターがいっぱい登場するんですけど、なにより星野源さん演じる主人公の春之介がとってもすてきなんですよ! 前半はダメで頼りないけど、周囲に助けられながら奮闘するうちに、だんだん顔つきや話し方が変わってくる。
最初のころの、ボサボサの頭をかく様子には母性本能をくすぐられる愛らしさがあるし、商人にお金を借りるために頼み込むシーンでは成長ぶりが感じられて、ぐっとくる。役柄の様々な姿が、星野さんご本人のキャラクターともマッチしていてよかったですね。さらに皆で歌う場面では、シンガーの星野さんまで見られるというか…(笑)。
東京出身のわたしですが、これまでに3回くらい引っ越しをしたことがあります。中学生か高校生くらいの時、漫画が大好きで棚にずらーって並ぶくらい買い集めていて、ずっと捨てられなかったのを、引っ越しを機に全部古本屋さんに売ったんですよ。一冊も残さず。劇中で書庫の本を減らすために苦悩する春之介みたいに、あの時はつらかったですね(笑)。
それから家に漫画を置くことはなくなりました。引っ越したことで“変わった”って感じです。引っ越しってすごいと思うんですよね。自分のあり方まで変えちゃうから。ちなみに、漫画はなくなったけど服は増え続けています…(笑)。
●尾崎由香プロフィール
1993年生まれ、東京都出身。15年より声優活動を開始し、17年にテレビアニメ「けものフレンズ」のサーバル役に抜擢され注目を集める。18年には「LET’S GO JUMP☆」でソロデビューを果たす。8/7(水)に1stソロアルバム「MIXED」をリリース、9/29(日)にSPACE ODDにて1stワンマンライブを開催する。
8/30(金)「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」 けものフレンズ にて出演
Twitter/@ozaki_yuka515 Instagram/ozapure15
取材・文/編集部