【今週の☆☆☆】実写のような驚異の映像世界『ライオン・キング』や19世紀の民衆弾圧事件を描く『ピータールー マンチェスターの悲劇』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。夏のお盆ウィークに突入する、8月9日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。ディズニーの名作アニメーションを3DCGで描く“超実写”作品、イギリスで実際に起こった“民衆弾圧事件”に迫った力作、有名ギタリストたちが来店するニューヨークのギター店のドキュメンタリーなど、バラエティーあふれる作品ばかり!
本物にしか見えない動物たちの愛憎入り混じったドラマ『ライオン・キング』(8月9日公開)
偉大な王である父を亡くした子ライオンのシンバが、自らの運命に立ち向かう『ライオン・キング』。2Dアニメ、演劇の次はとうとう実写映画に!?と、思わず目を見張る映像は、アフリカの雄大な自然をVR化して実写のように撮影したという“超実写”作品だ。本物にしか見えない動物たちが繰り広げる愛憎入り混じったドラマの数々は、さながらドキュメンタリー作品を観ているよう。サバンナのザラついた風、ジャングルの湿気を帯びた空気をリアルに感じながら、“生命の環”がつながる瞬間を観届けてほしい。ちなみに、オープニングにはジョン・ファヴロー監督が紛れ込ませたという本作唯一の実写映像も…。どのシーンか、わかるかな?(映画ライター・ほそいちえ)
無抵抗の民衆に、なぜ軍は斬りかかったのか?『ピータールー マンチェスターの悲劇』(8月9日公開)
1819年にイギリス、マンチェスターで起こった民衆弾圧事件“ピータールーの虐殺”の実話を、『秘密と嘘』(96)の名匠M・リーが映像化。貧困にあえぐ市民の大規模集会。無抵抗の彼らに、なぜ軍は斬りかかったのか?集会を企画した人々の奔走や、彼らに脅威を覚える権力者たちの策略など、多角度からこの事件を検証。なおかつ、選挙権さえあたえられぬまま貧困生活を強いられ、声を上げようとした庶民の目線にリー監督は寄り添う。権力者がそれに近い者を優遇し、貧者から搾取する構図は、昔も今も変わらない。力のない市民に何ができるのか?何をどう変えるべきなのか?格差社会化が、より鮮明さを増してきた今だからこそ、観るべき力作。(映画ライター・有馬楽)
名うてのミュージシャンがぶらりと現れ、ギターを爪弾く 『カーマイン・ストリート・ギター』(8月10日公開)
ニューヨークに実在するギターショップのドキュメンタリーだが、正直ドキュメンタリーと呼んでいいのか自信がない。というのも、ビル・フリゼールやマーク・リーボウ、チャーリー・セクストンからジム・ジャームッシュまで、名うてのミュージシャンがぶらりと店に現れ、店のギターを爪弾いて一曲披露し、ついでに名物店主やスタッフとダベっていくのである。これが一週間毎日続くのだから、そりゃ仕込みでしょうよ!これって演奏付きのトーク番組ではないのですか?しかし、カテゴリー分けはあまり意味がない。ほんわか癒し系の店主の空気感と、いぶし銀の演奏と、音楽愛あふれる日常トーク。それだけあれば充分どころか、芳醇な時間を楽しめるのだから。(映画ライター・村山章)
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週末に映画観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス