【今週の☆☆☆】韓国発のゾンビ・コメディ『感染家族』や矢口史靖監督の新作ミュージカル『ダンスウィズミー』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。最大で9連休となったお盆ウィークを締めくくる、本日8月16日から今週末の公開作品をピックアップ。矢口史靖監督の絶妙なコメディセンスが光るオリジナル作品、『カメラを止めるな!』(17)制作チームが再結集しただまし合いの群像劇、韓国発の新感覚ゾンビムービーなど、バラエティーあふれる作品ばかり!
ゾンビに噛まれて若返る!?ユルさが笑いを誘う“ゾンビ・コメディ”『感染家族』(公開中)
小さな田舎町で、古びたガソリンスタンドを営む一家の父親が、突然現れたゾンビの青年に噛まれてしまう。家族は大騒ぎするが、翌日、父親は見るからに若返っていた!すると噛まれたがる老人が殺到し…。筋を聞くとバカバカしいし、最初こそ“何じゃコレ”のユルさだが、一家の守銭奴ぶりやら、ゾンビビジネスの仰天手法やら、ゾンビ青年の描写など、細かな笑いやギャグ、そのユルさまでもが次第にツボにハマってくる。しかも一家の長男を『さまよう刃』(14)、『正しい日 間違えた日』(15)の名優チョン・ジェヨン、自分勝手な次男を人気のキム・ナムギルが演じるなど、明らかに役者が豪華!ゾンビ映画大盛況の韓国からまた生まれた、淡い恋も家族愛も盛り込まれた、技あり一本のゾンビ・コメディだ。(映画ライター・折田千鶴子)
矢口史靖イズムが爆発!“ミュージカル嫌い”ヒロインの奮闘劇『ダンスウィズミー』(公開中)
矢口史靖監督は、苦境に立たされた女の子が奮起する姿に強く惹かれる節があって、そんな状況の彼女たちを輝かせるのが上手い。8ミリ時代の傑作『雨女』(90)ですでに貧乏暮らしの2人の女性が生きるためにスーパーを襲い、畑を荒し、牛を殺しながら疾走する姿を描き、『ひみつの花園』(97)では樹海の湖に眠る5億円の奪還に燃える女子(西田直美)を活写。ビッグバンドジャズに打ち込む『スウィングガールズ』(04)の女子高生たちはその最たる形と言えるだろう。そして本作も、明らかにその系譜に名を連ねるもの。ミュージカル映画を日本で成立させる矢口監督ならではのアイデアとダンスシーンばかりに話題が集中しているが、描かれるのは音楽を聴くと歌ったり踊ったりする催眠術をかけられたヒロインの奮闘劇。華麗なダンスシーンの直後に悶絶の表情を浮かべ、催眠術師役の名優・宝田明とトボけたトークを繰り広げたり、催眠術師の助手を演じたお笑い芸人のやしろ優との軽妙なかけ合いを見せる主演・三吉彩花に今回も魅せられる。彼女の内側からあふれ出るパワーに元気がもらえること請け合いだ。(映画ライター・イソガイマサト)
すべてが伏線!?二転三転するストーリーにくぎ付けになる『イソップの思うツボ』(公開中)
映画ファンを悶絶させた『カメラを止めるな!』の上田慎一郎の最新作は、同じくインディーズで活躍する浅沼直也、中泉裕矢とコラボした監督3人共作によるサスペンステイストな群像劇。引っ込み思案で影の薄い女子大生・美羽と、その同級生でタレント活動をしている恋愛体質の早織、父の復讐代行業を手伝う武闘派少女・小柚。違う世界に生きていたはずの3人が、見えない糸で結ばれてゆく…。オムニバス風の今作は、意表を突く先読み不可な展開がキモ。しだいにピースが埋まっていくパズルのような楽しさと、次々起こるどんでん返しに翻弄されるライド感がたまらない。さりげない描写や展開ひとつひとつに意味があるので、90分間スクリーンから目を離さずに観てほしい!(映画ライター・神武団四郎)
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週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!