『ザ・タウン』ブレイク・ライヴリー「今までのどの映画よりも毎日が充実していたわ」インタビュー1
ベン・アフレックが監督・脚本・主演を務める『ザ・タウン』(2月5日公開)。昨年の東京国際映画祭でクロージング作品として上映され、好評を博した本作がいよいよ公開を迎える。今回、テレビドラマ「ゴシップガール」でおなじみ、今年最も注目を集める女優で、クリスタ役のブレイク・ライヴリーにインタビューした。
――映画の中で数シーンしか出番がないですが、完全にできあがったキャラクターを演じるのは難しかったですか?
「それは当然、チャレンジだったけど、脚本でとてもよく練られたキャラクターだったのでやりやすかったわ。ベンたち脚本家が本当に素晴らしかったのよ。たとえば、1つのことを話しているように見えるけど、その回りでストーリーが作られている感じに書かれていて、行間のニュアンスがとてもよく理解できたの。誰も言葉で語っていなくても、ストーリーの背景がよくわかったし、未来の不穏な雰囲気もよく理解できた。それに、あんな才能あふれる俳優たちに囲まれて、そういうシーンを演じることができたんだもの。とにかく脚本の段階から恵まれていたのよ。そして、セットではベンが、みんなが互いに反応し合って、それぞれのシーンの背景を創り出し、ハードルを高くしていける雰囲気を創ってくれていた。だから、少ない出番で他人の人生を演じるのは難しかったけど、本当に刺激的だったわ。今までやったどの映画よりも、毎日が、どのシーンもが充実していて、とても豊かだったから」
――このキャラクターに惹かれた点はどこですか?
「演じるのが簡単なキャラクターではなかったからよ。私はチャレンジが大好きなの。クリスタからは強烈な印象を受けたわ。彼女は何のチャンスもない環境で育ち、どの点を考えても、心が折れてしまっていていい女性。でも、彼女はとても傷ついてはいるけれど、心は折れていない。まだとても強く、困難を跳ね返す力がある。彼女は脆くて、自暴自棄なところもあるけれど、それでも心ある人間で、苦しみがわかる人。彼女は素のままのキャラクターなのよ。だから、演じるには全ての警戒心を解き、自分を消し、自分とは全く違う人間になりきらなければならなかった。ネイル、ヘアスタイル、お化粧、靴、とにかく全てが私と違うの。私だと気づかれないくらい。そこがとても気に入っていたわ。クリスタという人物を探り、自分がどうやれるかを知るプロセスがとても楽しかったの」
――クリスタについて、ベン・アフレックは最初にどう説明してくれましたか?
「脚本上では、クリスタはボストン出身の37歳の母親。だから、ベンは私を起用する気はなかったの。誰も私を欲しがらなかった。『いや、君はこの役にふさわしくない』とみんなから言われたわ。でも、私はオーディションを勝ち取った。そして、オーディションの後は、役を勝ち取るためにまた頑張ってオーディションを受けたの。だから『こんな役があるんだが、どう?』みたいにオファーしてもらったわけでは決してなかったのよ。私の方が『どうかお願い、私を起用して!』と懇願したの。(決まった後は)クリスタについてあれこれ話し合う必要はなかったわね。役について話すよりも、ベンは私にクリスタとして生きさせたがったの。だから私はプロデューサーを通してチャイナタウンの人々を紹介してもらったのよ。若い女の子たちと一緒に過ごし、何か特別なことをするわけではなく、ただ彼女たちの家でぶらぶらしたり、低所得層団地の周辺を歩き回ったり、地元のバーやレストランに行ったりして、そこで生活することによってクリスタの人生を理解していったの。ボストンについての本を読んだり、ボストンなまりをマスターするためにずっとヘッドセットで聴いたりするのではなく、実地に体に染み込ませたのよ」
――本作で描かれたボストンは正確?
「そうよ。もし私が映画館でこの映画を見たら、『すごく面白い映画だけど、これって実際とは違うのよね?』と思うかもしれないわね。でも、あの町でしばらく過ごすとわかるけど、もっとああいうことが起こるのよ。あそこではごく普通のことなの。まだかなり荒っぽいことが起こってる」
※インタビュー2に続く