“引きこもりニート”が異世界へ転生!?大人気『このすば』はゆるくて残念な世界にハマる!
人気ライトノベルを原作に2度のテレビアニメも放送された異世界転生ファンタジー作品の劇場版『映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』(公開中)。「このすば」の愛称で親しまれる本作は、数ある“異世界転生もの”の中でも、ゆる~い世界観や残念過ぎるキャラクターたちが話題を集めた異色作品だ!
せっかく異世界転生したのに、土方作業で日銭稼ぎ!?
本人の勘違いによる交通事故(?)であっけなく死んでしまった少年のカズマは、ひょんなことから女神のアクアを巻き添えにして、RPGのような世界が広がる異世界へ転生してしまう。従来のラノベやゲームなら、ここで冒険者となったカズマがチート能力で無双し、複数のヒロインと共にハーレムを築き、魔王を倒すべく壮大な冒険を繰り広げる…!となるところだろうが、本作ではそうはいかない。
強力な武器や魔法ではなくアクアを道連れに転生したため、装備0、無一文の貧乏冒険者になってしまうのだ。そして、強いモンスターを倒しに行くどころか、アクアと共に土方作業で日銭を稼いで馬小屋に寝泊まりする生活が展開される。そんな、9割がギャグでできたゆるい世界観が本作の特徴。後に紹介する登場人物たちの奇行・トンデモ発言満載の日常も加わり、他作品にはないおバカな魅力を醸しだしている。
駄女神に中二病、真性のドM!クセ者揃いなヒロインたち
引きこもりのニートで、アクアから「ヒキニート」と呼ばれるカズマ。その性格は卑怯・外道・クズ・変態を兼ね備えた「え?君って主人公なの?」というキャラクターだ。特殊スキルで女性冒険者の下着を盗み、勝つためなら手段を選ばない彼は、3人のヒロインとパーティを組むことになるが、彼女たちもまた、駄女神、中二病、ドMとクセ者ぞろいとなっている。
回復魔法や神聖属性の攻撃に長けている、水の女神ことアクア。しかし、運勢と知能が低く、素行の悪さから女神として信じてもらえなかったり、過剰な自信の割に結果が伴わず泣きわめいたり、特技が宴会芸(水芸)だったりと、女神らしさのかけらもない。「駄女神(だめがみ)」と呼ばれ、メインヒロイン的な立場にあったが、次々と登場するキャラが濃すぎるヒロインにより次第に影が薄くなっていく残念な存在だ。
パーティに入る最初の仲間がスゴ腕アークウィザードのめぐみん。魔法の扱いに長けた紅魔族の中でも天才と呼ばれ、辺り一帯を焼きつくす“爆裂魔法(エクスプロージョン)”の使い手で、その大火力を生かした活躍を見せる。のだが、この魔法を1度放てば魔力が切れで動けなくなり、これ以外の魔法が使えない&一切興味を示さないという問題児。常に眼帯をつけた深刻な中二病患者でもあり、頭のおかしい“爆裂娘”と度々呼ばれてしまう。
めぐみんに続いてカズマたちパーティに加わるダグネスは、「クルセイダー」と呼ばれる騎士職で(黙っていれば)抜群のプロポーションを誇る美女。騎士らしくパーティや街の人々を、身を挺して守るなど打たれ強さは随一なのだが、その強さは彼女自身の「ドM気質」によるもので、痛みを快感に変えているだけ。だからこそ、体を張った行動は大得意というより大好物にして趣味。自分がピンチに陥る、ボコボコにされる、といった妄想をしては現実にもそれを求める、度し難いドMなのだ。
その他にも、商才0なのにマジックアイテム屋を営む巨乳美女のウィズ。めぐみんと同郷にして(自称)ライバルのぽんこつ美少女・ゆんゆんなど、個性と魅力と残念感あふれるキャラクターが多数登場する。
やる時はやる!大迫力のバトルシーンも
ここまでの説明では、残念な登場人物がドタバタ劇を繰り広げるコメディだと思われそうだが、ファンタジー作品らしい熱いシーンもちゃんと用意されている。大ピンチの場面では、普段はグダグダなパーティが息の合った連携プレーを見せ、強敵相手にも大迫力かつ大立ち回りのバトルを繰り広げるのだ。特に、超巨大な機動要塞デストロイヤーを倒すために他の冒険者たちとも協力して戦うテレビアニメ第1期の最終話や、魔王軍の幹部で凶悪なスライムのハンスを倒すべくアクアが(初めて)女神らしい活躍を披露する第2期最終話などは必見!
そんなTVシリーズのスタッフたちが再集結して作られた劇場版は、めぐみんとゆんゆんの故郷・紅魔の里が舞台に。ドラマもギャグも銀幕用にパワーアップした本作に、劇場が爆笑に包まれることは間違いなし。夏休み明けにたまったストレスを笑って吹き飛ばしに、映画館へ足を運ぼう!
文/リワークス