ジョニデにクリスチャン・ベール、ジェフ・ブリッジスも!“おじさん”大好き監督の手腕に注目!
ジョニー・デップをハゲおやじに!…『ブラック・スキャンダル』
おじさんの生来持つ魅力を引き出してきたクーパー監督だが、実在の犯罪者ジェームズ・ジョセフ・バルジャーの物語を扱った『ブラック・スキャンダル』(15)では、俳優の新たな魅力を引き出すという点でも、その手腕を遺憾なく発揮。FBIと密約を交わし、敵対する組織を壊滅に追いやるという姑息な手口でのし上がっていくギャングのボスを描いた本作で、バルジャーを演じたジョニー・デップを見た目から大変身させていく。
デップにハゲ頭のメイクを施しイケメンの面影を一切排除すると、ニヤッとした笑みを浮かべさせたり、時にはブチギレ演技をさせて凶悪な一面をチラつかせさせるなど、卑劣で危険な雰囲気を纏った男として演出。ワイルドかつチャーミングな大人の色気漂わせた彼らしさは見る影もなく、あまりの変化を遂げたデップに、ショックを受けたという人も多かったのではないだろうか。
おじさんだけでなく女優の演出も気合い十分…『荒野の誓い』
そんなおじさんを輝かせたら右に出るもののいないクーパー監督による最新作『荒野の誓い』では、クリスチャン・ベールと再タッグ。フロンティアの消失と共に西部開拓時代が終わり、産業革命の時代へと移り変わる1892年。インディアン戦争を戦い、数え切れないほどアメリカ・インディアンたちを殺してきた陸軍大尉ジョー(ベール)に、末期ガンに侵された収監中のシャイアン族の首長イエロー・ホーク(ウェス・ステューディ)とその家族を居留地となった故郷のモンタナに送り届けるという任務が下される…。
自分の信念と相反するような任務に葛藤しながらも、次第にイエロー・ホークやその家族と友情を育くみ、親友を失ったの際には静かに嘆き、最後には自分の罪と向き合いある決断をするなど、本作でもさまざまなベールの深みある表情が引き出されている。ベール演じるジョーだけでなく、ジョーの宿敵だったイエロー・ホーク、先住民殺しで死刑が確定した元部下など、様々な立場の男たちの熱い表情もてんこ盛りだ。
さらには女性の演出にも、明らかにこれまで以上の気合いが入っており、コマンチ族に家族を皆殺しにされたロザムンド・パイク演じる未亡人が、家族を失ったショックのあまり精神的におかしくなり、目の焦点が合わない状態で人目をはばからずに慟哭する姿は鳥肌ものだ。
得意とするおじさんへの演出を武器に、重厚なドラマを作り上げてきたクーパー監督が、さらなる高みへと踏み出した『荒野の誓い』。俳優たちの痺れる姿を、ぜひ大きなスクリーンで堪能してほしい。
文/トライワークス
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