背伸び系OLに純朴少女まで!最旬女優・松本穂香の振り幅がスゴい!<写真12点>
「意識高過ぎ、高杉くん」のおなじみのフレーズで一気にブレイクを果たし、ドラマ、CM、映画と引っ張りだこの女優・松本穂香。この秋も『おいしい家族』(公開中)、『わたしは光をにぎっている』(11月15日公開)と主演作が立て続けに公開される。
2015年から芸能活動を始めた松本は、2017年の連続テレビ小説「ひよっこ」などで注目を集め出し、2018年の1月から放送されているauのCM出演で話題に。その後、ドラマ「この世界の片隅に」の主演に抜擢され、映画にも立て続けに出演。2019年はすでに出演映画が3本も公開されている大忙しの状態だ。
そんな彼女が主演を務めているのが、現在公開中の『おいしい家族』だ。第40回すばる文学賞佳作を受賞、ndjc:若手映画作家育成プロジェクトに選出されるなど、映像と文学の両フィールドでの活躍するふくだももこが監督、脚本を兼務。ふくだがndjcで手掛けた短編『父の結婚』(16)を基に、長編映画としてセルフリメイクしている。
松本扮する橙花は、銀座の化粧品売り場で働くものの、仕事も結婚生活もうまくいかず、お疲れ気味のOL。母の三回忌に離島の実家に帰ると、父(板尾創路)が亡き母の服を着て生活しており、自宅には見知らぬ中年男性・和生(浜野謙太)と女子高生のダリア(モトーラ世理奈)と居候しているというまさかの事態に。それだけでなく父は「和生と結婚して母さんになる」と言い出し…と父の仰天発言に振り回される役どころだ。
父の変化にはじめは戸惑い反対しながらも、周りの人への愛に満ちた父や和生らの姿に触れ、徐々にほだされていく感情の揺れ動きを、松本は丁寧な演技で体現。また、都会暮らしでやつれやや辛口というキャラクター像も、どこかコミカルな要素を入れながら見事に演じており、これまでの彼女のイメージになかった新鮮な一面を楽しむことができる。
11月公開の『わたしは光をにぎっている』は、一人の女性が自分の居場所を見つけていく姿を描いたドラマ。『四月の永い夢』(18)がモスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰をW受賞するなど、国際映画祭で高い評価を得る注目の若手監督・中川龍太郎の新作だ。
両親を幼い頃に亡くした20歳の澪(松本)は、育ての親である祖母の入院を機に田舎から上京することに。なかなか都会の空気になじめなかったものの、居候先の銭湯を手伝うことをきっかけに好きな人ができたりと、徐々に生活に喜びを見出していく。しかしそんな矢先、銭湯が区画整理から閉店を余儀なくされていることを告げられてしまう…。
澪は、都会での生活にやつれてしまう『おいしい家族』の橙花とは逆に、人付き合いが苦手で初めは戸惑っていたが、人々と交流することで都会暮らしに幸せを見出していくキャラクター。松本はこの役を演じる上で「あえて“作りこまない”意識をしていました。それはきっと、私自身が彼女の考え方や在り方に共感できる部分があったからだと思います」とコメント。その言葉通り彼女の持つ魅力と相まった自然体な演技でキャラクターを生き生きと表現し、映画に深みをもたらしている。
真逆とも言えるような役柄も見事に演じ分け、役者としての実力を遺憾なく発揮している松本穂香。この2作以外にも『酔うと化け物になる父がつらい』(2020年公開)、『みをつくし料理帖』(2020年秋公開)など主演作がまだまだ待機しているので、ぜひこれを機にさらに注目してみてほしい。
文/トライワークス