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ソ連時代の最強戦車「T-34」が活躍!エンタメ感あふれるロシア映画が激アツい!

コラム

ソ連時代の最強戦車「T-34」が活躍!エンタメ感あふれるロシア映画が激アツい!

いまも現存するT-34を用いたリアルさ

注目すべきは、やはり対戦車戦。ソ連は戦勝国であり、当時T-34が大量に生産されたため、国内には状態が良く実際に走らせることができるT-34の実車が多数実在している。本作では、それらの車輌を用いて撮影を行うことで本物の戦車だからこそ表現できる、戦車が鉄の塊の兵器であるというリアリティを全面に押し出している。そして、対戦車戦では、発砲された砲弾がどのように戦車に着弾し、破壊するのかというプロセスをCGとスローモーションを多用した映像で徹底表現。砲弾の種類によって変化する爆発や破壊などの描写の違いなどにもこだわり、戦車の持つ破壊力、そして戦車が陸の王者たる圧倒的な兵器ながら、状況によっては鉄の棺桶にもなるという戦争の現実をこれでもかと見せつけてくれる。

さらに地形効果などを使い、立体的に動き回りながら敵と戦う戦車戦のセオリーも、位置関係をしっかりと理解させ、様々な角度とスピード感で展開。戦車のリアルさを堪能させながらもケレン味のあふれる表現が楽しめる映像となっているのだ。

【写真を見る】現存する「T-34」戦車などを用いた映像が魅力!
【写真を見る】現存する「T-34」戦車などを用いた映像が魅力![c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

現存しないドイツ軍の戦車に関しても、徹底した考証を行ってレプリカ車輌を制作。CGと融合させることで本物らしさを追求している。さらに砲弾が戦車に当たると、その反響音で乗員がダメージを受ける様子などまで描くなど、エンタメ性を維持しながら本物らしさも両立させる手腕は見事だ。

戦車内部の様子もリアル!
戦車内部の様子もリアル![c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

ドラマ面では、仲間との友情やライバルとの関係性、さらに捕虜女性とのラブロマンスといったストーリー要素もしっかりと押さえているので、戦車や戦争の知識がなくても、戦場を舞台にしたエンタメ性の高い作品としてじっくりと楽しめる1本になっている。ぜひ、近年の進化したロシア映画の底力を劇場で確認してみてほしい。

文/石井誠

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