アートの秋!映画から展覧会まで…深淵なる“ゴッホ”の世界に浸ってみる?<写真35点>
『バスキア』(96)、『潜水服は蝶の夢を見る』(07)などのジュリアン・シュナーベルが監督・脚本を手掛ける『永遠の門 ゴッホの見た未来』が11月8日(金)より公開され、東京・上野の森美術館では「ゴッホ展」が開催中。そのほか、ゴッホにかんするドキュメンタリー映画も現在公開されていたりと、この秋は日本がゴッホ色に染まると言ってもよいだろう。そこで今回は、日本でも人気の高い“フィンセント・ファン・ゴッホ”という画家の人間性や表現の本質に迫ることのできる、これらの作品&展覧会を紹介したいと思う。
ゴッホの視線で世の中の美しさを体感させる『永遠の門 ゴッホの見た未来』
美術史上最も重要な人物であり、人気の高い画家、ゴッホの人生は、これまで何度も題材として取り上げられ、映像化されてきた。生前に才能を認められず、病を抱えながら孤独な人生を送ったことが人々の興味を引きつけるのだろう。『永遠の門 ゴッホの見た未来』で、ジュリアン・シュナーベル監督は彼の人生を丁寧に描いているが、それだけではなく“絵を描くということはどういうことなのか”を観客に体感してほしいという意図を作品に込めている。この作品でゴッホが見つめていたであろう美しい景色を観ていると、まるで同じ時間を共有しているような感覚になってしまう。ゴッホを描いてきたこれまでの作品とは確実に違うものが、スクリーンを通して体感できる。
ゴッホ作品を愛した女性のドキュメンタリー『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』
ゴッホの死後、300点もの彼の作品を集め、美術館を設立した個人コレクター、資産家のヘレーネ・クレラー=ミュラーという女性がいた。彼女の目を通して描かれたアートドキュメンタリー映画が『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』(公開中)だ。ヨーロッパを代表する女優、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキがガイド役として登場し、ゴッホとヘレーネが残した手紙をもとに芸術と人間の生を探究する2人の人生と接点に迫る。
ゴッホの絵をこの目で見たいと思ったら「ゴッホ展」へ
現在、開催中のゴッホ展は、7年ぶりに来日した「糸杉」をはじめ「麦畑」「薔薇」など約40点の重要作品が展示されている。さらに、マウフェやセザンヌ、モネといった巨匠たちの作品約30点に加え、ゴッホが手紙の中で語った言葉も交えながら、唯一無二の表現にたどり着くまでの過程を掘り下げた濃密な内容に。東京での開催は2020年1月13日(月・祝)まで。その後、兵庫県立美術館で1月25日(土)~3月29日(日)にかけて開催される予定だ。
『ゴッホ 最期の手紙』はゴッホの死の真相に迫る物語
最後に少し前の作品になるが、ゴッホという人物に対しユニークな角度から迫ったアニメーション映画も紹介しておきたい。一般的に自殺したと言われているゴッホだが、その死に異を唱える人も多い。日本でも劇場公開された『ゴッホ 最期の手紙』(17)は、ゴッホが弟・テオへ送るはずだった最後の手紙を届けるため、主人公の青年が各地を旅しやがてゴッホの死の真相に迫っていくという物語だ。全編を構築するのは、125名の画家がゴッホのタッチを再現して描いた絵で、まさに“動く油絵”によってゴッホの絵画が動くように感じる異色のアニメーションとなっている。もっとゴッホについて知りたいという人は、こちらもぜひチェックしてみてほしい。
文/咲田真菜