国民的“アラ古希”スターが魅せる、インド映画『ロボット2.0』はやっぱりカオスだった…!
インド映画史上最強のおじさんロボットが帰ってきた…。世界興行収入100億円を超える大ヒット映画『ロボット』(10)の待望の続編が、日本でもついに公開となった。前作で自分そっくりなロボットをつくる博士を演じたインドの名優ラジニカーントが、68歳にして主人公を続投。しかもラジニ扮するバシー博士の今度の敵は、まさかの”スマホ”…!?VFXもパワーアップした本作の“規格外”なポイントに注目したい。
スマホが人間を襲う!?容赦ない攻撃で大惨事に…
前作『ロボット』では、コントロール不能となったロボット“チッティ”が人間を敵対し大騒動を繰り広げたが、バトルの末にインドには平穏な日々が訪れていた。しかしある日突然、街中のスマホが手元から飛び去る事件が発生。ケータイ販売業者や通信大臣など、スマホ関連の職に就く人々に次々と襲い掛かる!壁一面や道路を埋めつくす無数のスマホ。スワロフスキーみたいでキレイに見えるが、そのあとの攻撃っぷりは容赦なく、まさかの大惨事に…。
やがて明るみになるスマホ社会への”まさか”の警笛。暴れまわるスマホの裏に隠された”とある男”の切実な願い。明日のニュースになってもおかしくない(!?)エンタメアクション×社会派ストーリーに興味が尽きない。
インド映画史上最高額のぶっ飛びバトル
変幻自在なスマホの群れに立ち向かうのは、前作から8年を経た主人公のバシー博士と新登場の助手ニラー。脅威を前に、封印していたロボットのチッティを呼び覚ます。さらに大ピンチには、チッティ2.0も堂々の再起動。前作で大暴走してチッティ共々封印のきっかけをつくった大悪漢が、トンデモナイ作戦で戦いに挑む!
大量のチッティ2.0の合体シーンは、衝撃。世界2位のインド人口に鍛え抜かれた映画芸術は伊達じゃない。製作費90億円、インド映画史上最高額をかけてつくられた本作の底力には、笑いながらも思わず脱帽してしまう。
1人何役も務める“アラ古希おじさん”のぶっ飛び演技
敵との攻防の最中、バシー博士が体を乗っ取られるまさかの大ピンチに!自身の生みの親である博士への攻撃を躊躇するチッティは大破。やむなくニラーはチッティ2.0を起動するのだが…。
精悍なバシー博士、愛嬌あるチッティ、憑りつかれた博士と横暴なチッティ2.0。どれも主演のラジニカーントが演じ分けるのだから驚きだ。国民的“アラ古希”スターが魅せるおじさんの無限の可能性は、どんな敵を打ち破るよりカッコ良く見えてしまう。
クセが強ければ強いほどそのスパイスに思わぬツボを刺激されて、どハマりする人が続出するのがインド映画のおもしろいところ。超ハイテクVFXとベテラン俳優(超ローテクおじさん)の技量がつまった世紀の一戦を、ぜひ劇場の大画面で堪能してほしい。もちろんスマホの電源を切るのを忘れずに。あなたの身にもトンデモないことが起こるかも…?
文/大久保渉