美しい風景が“想い”を運ぶ…『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の新たな場面に注目
第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞をはじめ、国内外で70以上の賞を受賞した『この世界の片隅に』。同作に250を超える新規カットを加えた長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月20日(金)より公開される。解禁された6点の場面写真から本作の魅力を探ってみよう。
2016年11月の公開以来、日本全国どこかの劇場で1日も途絶えることなく上映が続けられ、現在までに210万人以上を動員した『この世界の片隅に』。本作では、すずとリン、周作の3人が秘める“こころのひみつ”にまつわるシーンが新たに追加されており、前作では見えてこなかった登場人物の知られざる一面や複雑な心情が幾重にも絡み合う、より重厚な人間ドラマへと趣を変えている。
先日到着した場面写真6点には、本作で描かれる四季の描写が映しだされている。北條家の一家が揃って花見をした満開の春、すずと晴美で小松菜の種を植えた初夏。赤トンボが飛ぶいわし雲を夫婦で見つめた秋。そしてテルとすずが出会う、雪が多かった昭和20年の冬。日本の美しい四季を描いたこれらの端々に、登場人物たちが抱える“いくつもの想い”を垣間見ることができるだろう。
先日行われた第32回東京国際映画祭で特別招待作品としてワールド・プレミア上映され、上映後のSNSでは多くの観客から「前作と観終わった後の印象がまったく違う、期待以上の新作」との声があがっている本作。前作をすでに観ている人もそうでない人も、単なる長尺版ではなく、新たな1本の作品として生まれ変わった『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を通して、昭和20年の夏に想いを馳せてみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬
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