「スター・ウォーズ」のフィンとポーが語る、戦闘シーンの舞台裏
SF映画の金字塔である人気シリーズの最終章『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(公開中)を引っさげ来日した、フィン役のジョン・ボイエガと、ポー・ダメロン役のオスカー・アイザックを直撃。劇中の役柄同様、プライベートでも仲の良い2人が、思い出に残る撮影秘話を明かしてくれた。
祖父、ダース・ベイダーの遺志を受け継ぎ、銀河の圧倒的支配者となったカイロ・レン(アダム・ドライバー)に対し、フォースを覚醒させたレイ(デイジー・リドリー)は、亡き伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)から委ねられた想いを胸に、レイア将軍(キャリー・フィッシャー)や天才パイロットのポー・ダメロン、元ストームトルーパーのフィンら、わずかなレジスタンスの同志たちとともに戦っていく。
来日記者会見でレイ役のデイジー・リドリーが、本作でレイの出生に関する謎が明かされると公言したが、フィンのバックグラウンドについても詳細が語られるだろうか?と聞くと、ボイエガは「フィンには、“大きな問題”がある。でも、その詳細を明かすことはできないよ」と予想通り明言を避けた。ただ、その展開についてボイエガ自身は驚かなかったらしい。
「『スター・ウォーズ』に登場するのは、爆発が次々と起きる戦場にいても、誰かを殺すという状況に遭遇しても、それを平然とやってのけるキャラクターたちばかりだ。非常に好戦的で、戦争をすることに対しても、あまり躊躇しない感覚を持っている。でも、フィンはそうではないんだ」。
ボイエガは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)のころから「フィンの旅路には常に“恐れ”がつきまとっている」と感じていたそうだ。「フィン自身が、人間らしい恐怖心を持ったキャラクターでもある。フィンは、我々と同じ普通の人間で、そういう思考を持つ彼が、急に銀河系のはるか彼方へ連れてこられたわけだ。だから、いろんなクリーチャーや権力にと対峙する時、どこか恐れを感じるんだ」。
これまで、良きバディぶりを見せてきたポーとフィン。本作の予告編でも、ファースト・オーダー軍のストームトルーパーたちと交戦しながら、通路を駆け抜けるシーンには心が躍る。ボイエガは同シーンについて「どんどん敵を倒していくシーンを撮影した日は、本当に楽しかった。それは、(パイロットである)ポーにとっても、初めてコックピットを出て戦うシーンでもあったから」と言うと、フィンも「あのシーンは、童心に戻って撮影をしたよ。まるで、ビデオゲームで戦っているようだった」とうれしそうに相づちを打つ。
J・J・エイブラムス監督の演出についてオスカーは「J・Jは、役者たちのアクションをかなり長回しで撮る。カットを割らずに、ずっと撮りっぱなしにするので、役者たちはテンションをキープできるところがいい。あのシーンでは、ストームトルーパーがあちこちにいて、火花が散るなかで、廊下を駆け回ったよ」と目を輝かせながら語ってくれた。
「スター・ウォーズ」の壮大なサーガが本作で幕を閉じる。同シリーズの時代性について、オスカーは「たぶんエピソード4から始まった旧3部作から、当時の世相をストーリーに反映された部分があったのではないかと思う。特に、エピソード5や6が公開されたころは、ベトナム戦争が終わったあとで世界が全体主義となり、いろいろな勢力が台頭してきた時代だった。だから、それに対して抵抗したいという信念も織り込まれていたと思う」と分析。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』も同様に、時代を映しだ
していると感じているそうだ。「いまでもそういう側面はあると思う。いろんなファシスト的イデオロギーや様々な政権があちこちで台頭しているなかで、政治家たちが、他者や移民、すなわち“自分たちと違う人たち”の侵入に対して抱く恐れを利用し、政治を司ろうとしている。だからこそ、この『スター・ウォーズ』のトリロジーでは、希望を描いているのだと思う」。
また、オスカーはケリー・ラッセル演じる新キャラクターのゾーリ・ブリスが放つ台詞に触れ「ゾーリが、思いを1つにした人たちが結託すれば、相手に屈することなく、チャンスを見出せる、ということを訴えるんだが、それはたぶん、いまを生きる人たちが聞きたい台詞じゃないかと思う」とも教えてくれた。
すでにSNSでは、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観たSWファンたちによる熱いコメントが、次から次へとアップされている。それに乗り遅れないよう、この週末は劇場へ行ってSW旋風を体感してみてほしい。
取材・文/山崎 伸子