“シリアルキラー”の語源にもなった、裁判では自ら弁護を行うIQ160の殺人鬼を知っているか?
甘いマスクとIQ160とも言われる明晰な頭脳を持ち、アメリカ史上最も有名な連続殺人犯の一人とされるテッド・バンディ。数々の映像作品で幾度となく言及されてきた人物であり、その名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか?
そんな彼の実話を描いた映画『テッド・バンディ』が公開中だ。この作品は、彼の恋人であったエリザベス・クレプファーによる彼との日々をつづった手記「The Phantom Prince: My Life With Ted Bundy」を、Netflixのドキュメンタリー「殺人鬼との対談: テッド・バンディの場合」を手掛けたジョー・バリンシャー監督が映画化。恋人の視点から、1974年から78年の間に30人以上の女性を惨殺するという残虐な犯行を繰り返したバンディの様々な顔を描き、世の中を翻弄した男の姿をあぶり出していくというものだ。
一定の期間を置きながら複数の殺人を犯す連続殺人犯を指す“シリアルキラー”という言葉は、バンディを表すためにFBIによって提唱された。ヒゲや髪型といった少しの変化で、まったく違う印象を与えることができ、自由自在に見た目を変えられるカメレオンのような顔とも言われていた。刑務所からの2度の脱獄を成功させるなど、衝撃的なエピソードを多数持つバンディ。映画でも彼やその周辺による数々の言動が描かれている。
例えば、その端正なルックスと雄弁な物言いでメディアを通しカリスマ的な人気を獲得すると、裁判には彼の無実を信じる女性の親衛隊が多数押しかけ声援が上がったり、バンディが証人の女性との結婚を裁判で宣言し、これが認められ婚姻を結んだり。さらには自慢の頭脳を活かし、裁判では弁護士を依頼せず、自分で自己弁護を行ない、裁判長をして「君は頭がいい。いい弁護士になれたかも」と言わしめるなど…。
カリスマ的な振る舞いで全米を翻弄した犯罪者バンディ。観る者までも惑わせる彼の衝撃的な姿を、ぜひ映画館でチェックしてみてほしい。
文/トライワークス