【ランキングで振り返る『ウォーキング・デッド』の10年 Vol.1】魅力は悪役にあり?! 小心者の悪役や、善人顔の悪役がヤバイ
2010年にスタートした『ウォーキング・デッド(TWD)』が'20年に放送開始10年目に突入!そこでさまざまなジャンルのオリジナル・ランキングでこれまでの『TWD』を振り返る。第1弾はウォーカー=ゾンビより恐ろしい悪役たちにフォーカス!
※以下ストーリーのネタバレがあります。
画期的なサバイバル・ドラマとして今もなお高い人気を誇る理由が、主人公リックたちに立ちはだかる悪役だ。人間の生首を串刺しにして並べるアルファや、人間屠殺場を作ったギャレスなど、分かりやすい残虐性を発揮する悪役たちにも、実は切ない過去があったことまで描くのが『TWD』の魅力。この世界では、ただ腕力が強いだけでは生き残れないので、悪いヤツほど知的能力が高く、意思が強く、ある種の魅力を持っている。だから、聖域のリーダー、ニーガンは、普通の善人たちよりも強烈な魅力に満ちていたりする。
また、中にはダリルの兄メルルや“ウルフ”のオーウェンのように、さまざまな経験を経て、最後には悪役とは言えない行動をするというパターンもある。登場人物たちの心理が少しずつ変わっていくのも、このシリーズの醍醐味なのだ。
しかし、もっとも『TWD』らしい悪役は、一見、善人のように見える困った人たちだろう。アレクサンドリアのリーダー、ディアナや、シーズン5でベスが収容された病院を管理する女性警官ドーン・ラーナーがこのタイプ。『TWD』は、こういう自分の正しさを信じすぎる人たちが周囲に及ぼす被害の大きさも、きっちり描いてくれる。
もうひとつ、『TWD』の悪役キャラの魅力は、極悪人だけでなく、小粒な悪人たちも登場すること。ヒルトップのグレゴリーや、"ウルフ"のオーウェンがこのタイプ。世界がこんな状況にならなければ何もしなかっただろう、小心者の普通の人たちが、ふとしたことから悪事を働いてしまう。"ああ、こういう人って身近にもいるよなぁ" "ああ、こういうことってあるだろうなぁ"というあるある感にうなずきながら、また『TWD』を見てしまうのだ。
【第10位】 オーウェン(シーズン5、6)
略奪集団"ウルフ"のリーダーだけど、弱い? モーガンにはボコられ、アレキサンドリアを襲うが失敗。デニースを人質に逃げようとするが、最後は彼女を助けるちょっといいいヤツに。
【第9位】ジェイディス(シーズン7~9)
“清掃人”のリーダー。リックたちが聖域との総力戦を計画したとき、味方をすると言っておきながら「敵の方が報酬がよかった」とあっさり裏切る。徹底した利己主義がサイテー。
【第8位】グレゴリー(シーズン6~9)
ヒルトップのリーダー。住民のためと言いつつ、自分の保身のことしか考えていない。マギー殺害を計画した時も、息子を失くした人物の悲しみを利用しようとする卑劣なヤツ。
【第7位】メルル(シーズン1、3)
ダリルの兄。最初はただの協調性のない暴れん坊だけど、ガバナーの部下になると彼の命令でグレンを拷問する。でも、ずっと弟ダリルが大好きで、最後はガバナーに立ち向かう。
【第6位】ディアナ(シーズン5、6)
アレクサンドリアのリーダーで元下院議員。全員平等を主張しつつ、実は自分の家族を特別扱いする。自分に自信がありすぎて、不寛容。人々の言葉に耳を傾けないのがサイアク。
【第5位】ギャレス(シーズン4、5)
“終着駅”のリーダー。元は善人だけど、偽の看板で人々をおびき寄せるズルさが凶悪。「この世は食うか食われるか」が信念とはいえ文字通り人間を食べちゃうのはちょっと、ねえ?
【第4位】ガバナー(シーズン3~5)
ウッドベリーのリーダー。ウォーカーと化した幼い娘を手放せないのは切ないが、基本は支配欲、権力欲の権化。ウッドベリー崩壊後も他集団を率いるほど口がウマイのも最悪なところ。
【第3位】シェーン(シーズン1、2)
リックの同僚で親友。リックが死んだと思って彼の妻を愛してしまったのが引き金とはいえ、かつての親友を殺そうとするようになるとは。こういう敵が、もっとも恐ろしい?
【第2位】ニーガン(シーズン6~)
“聖域”のリーダー。「誰かに導かれることが必要な人々がいる」という信念はユニークだけど、シーズン6最後の愛用の野球バットによる人間撲殺シーンの残虐さは、直視不能!
【第1位】アルファ(シーズン9~)
ウォーカーの皮を被った“囁く者”のリーダー。集団全員を洗脳し、逆らうものは即殺す。シーズン9の大量生首シーンは強烈スギ。でも真の最悪さを発揮するのはこれから!?
文/平沢薫
DVD-BOX 1(1万500円+税)、Blu-ray BOX 1(1万2900円) 12月25日(水)発売
発売・販売:KADOKAWA
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