天才美少年作家の正体は〇〇!?世界を欺いた“J・T・リロイ”って何者?

コラム

天才美少年作家の正体は〇〇!?世界を欺いた“J・T・リロイ”って何者?

2000年代半ばに、世界中を震撼させたベストセラー美少年作家“J・T・リロイ”をご存じだろうか?金髪のカツラや大きな帽子とサングラスで公の場に登場し、ウィノナ・ライダーやマリリン・マンソンといった著名人とも交流があったとされる彼(?)の知られざる真実に迫った『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』が、現在公開されている。

【写真を見る】世界中がダマされた一大スキャンダルの顛末を、ぜひスクリーンで確認してほしい!
【写真を見る】世界中がダマされた一大スキャンダルの顛末を、ぜひスクリーンで確認してほしい![c] 2018 Mars Town Film Limited 

結論から言うとJ・T・リロイという美少年は存在しない。なぜならローラ・アルバートという女性作家が、夫の妹と共に創り上げた架空の人物だからだ。ところが、1980年に生まれ実の母に男娼になることを強制されたという(設定の)壮絶な過去や、ドラッグに溺れた体験をつづった(というスタイルで執筆された)代表作「サラ、神に背いた少年」の過激な内容に世界中が衝撃を受け、そのミステリアスな雰囲気も相まって誰もが彼の存在に夢中になってしまったのだ。本作はそんなリロイが誕生してから正体がバレるに至った経緯が、表向きの彼を演じたローラの義妹サヴァンナの視点で描かれる。

ローラが使っている‟J・T・リロイ”という偽名は、自身が自殺ホットラインに電話を掛けるときに使っていたものだった
ローラが使っている‟J・T・リロイ”という偽名は、自身が自殺ホットラインに電話を掛けるときに使っていたものだった[c] 2018 Mars Town Film Limited 

母親の元を離れ、兄の近くで新生活を始めた少女サヴァンナ(クリステン・スチュワート)。彼女はそこで、兄のパートナーで“J・T・リロイ”の偽名で活動するベストセラー作家ローラ(ローラ・ダーン)と出会う。サヴァンナの中性的で美しい容姿に惹かれたローラから「J・T・リロイを演じてほしい」と頼まれたサヴァンナは、金髪のカツラをかぶり、サングラスをかけ、架空の“美少年作家”を演じることに。リロイのふりをするのは1回きりの約束だったが、作品がハリウッドで上映されることが決まり、ローラ演じるマネージャーのスピーディと共にメディアへの露出が増えていく。そしてサヴァンナは、リロイとして出会った映画監督のエヴァに恋をしてしまう…。

J・T・リロイに扮するサヴァンナは映画監督のエヴァに恋をしてしまう
J・T・リロイに扮するサヴァンナは映画監督のエヴァに恋をしてしまう[c] 2018 Mars Town Film Limited 

本作の主人公サヴァンナを演じるのは「トワイライト」シリーズで人気を博し、最新作『チャーリーズ・エンジェル』(2月21日公開)でも主演を務めるクリステン・スチュワート。彼女は中性的で芯の強いサヴァンナと、シャイでミステリアスなリロイの2役を、話す際の仕草や声の大きさ、ローラに対する態度などを通じて見事に演じ分けている。そんなスチュワートを中心に、ローラを演じる『マリッジ・ストーリー』(19)でアカデミー賞助演女優賞に輝いたローラ・ダーン、エヴァ役を務めた『女は二度決断する』(18)のダイアン・クルーガーらが脇を支え、見応えのあるドラマが展開される。

中性的な少女サヴァンナを、持ち前の演技力で演じたクリステン・スチュワート
中性的な少女サヴァンナを、持ち前の演技力で演じたクリステン・スチュワート[c] 2018 Mars Town Film Limited 

2人の女性が創り上げた美少年作家が、世界中をダマした一大スキャンダルを描く本作。なぜ誰も嘘に気がつくことができなかったのか?裏では何が起きていたのか?その真実をぜひ映画館で目撃してほしい。

文/トライワークス

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