ヘレン・ミレン&イアン・マッケランが初共演の喜びを語る!『グッドライアー』インタビュー
アカデミー賞女優ヘレン・ミレンと、「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフ役で知られるイアン・マッケラン。ともに50年以上のキャリアを誇る英国の至宝が待望の映画初共演を果たす『グッドライアー 偽りのゲーム』(公開中)。このたび本作から、2人の貴重なツーショットインタビューが到着した。
本作は、人間誰しもが抱えて生きていかねばならない秘密と嘘、そして偽りに満ちた人生が暴かれていく大人の騙し合いを描いたサスペンス。夫を亡くしてまもない資産家のベティに狙いを定めたベテラン詐欺師のロイ。出会い系サイトで彼女に近付き全財産を騙し取ろうと企てた彼を、世間知らずのベティはたやすく信用するようになる。しかし事態は思いがけない方向へ発展。実はすべてがベティの仕掛けた恐ろしい罠だったのだ…。
「とても興奮しました。イアンとそれまで共演することについて話したことはなかったけれど、すごく嬉しかったんです」とイアンとの初共演が決まった時の心境を語るヘレン。一方でイアンも「私もとても嬉しかった」と顔をほころばせ「ヘレンのキャリアを見守ってきたなかで感じていたのは、彼女は人を魅了し、魅惑的で説得力があるということ。それはこのベティという役に求められることだよ。思いがけない利点で、あまり試行錯誤する必要もなかった」と、ヘレンという女優の魅力について語った。
舞台女優としてキャリアをスタートさせ、これまでにエミー賞を4回とトニー賞を1回。カンヌ国際映画祭とヴェネチア国際映画祭の女優賞、そしてアカデミー賞とあらゆる賞を獲得してきたヘレン。そして同じく舞台俳優として実績を積み重ねてきたイアンもトニー賞受賞経験を持ち、アカデミー賞には2度ノミネート。言わずと知れた名優2人に「良い役者というのは巧妙な嘘つきだと思いますか?」と問うと、イアンはこう答える。
「演技というのは嘘をつくことではない。演技とは、イマジネーションを活かすことだ。嘘をつくということも多分同じだとは思うが、僕たちはシチュエーションの真実を伝えることを職にしているんだ。人を惑わそうとしているのではなくね。僕は嘘をつくのはまったくうまくないんだ。だけど、僕は演技ができる」。
そして「僕は47年間、自分の人生のなかで嘘をつき続けてきた。同性愛者であることについて、公にはなにも話してこなかったんだ。それも一種の嘘だと言えるだろう。その話題を横にやって、人生の前半は嘘をつきつづけてきた。でもそれには理由があった。真実を告げたら僕は逮捕されるかもしれなかったからだ。だから考えてみれば、自分で認識はしていなかったけれど僕は嘘がうまかったということなのかもしれないね」と自身に重ね合わせながら語った。
最後にヘレンは本作について「本当の意味で物語性のある映画です。この作品はサスペンスであって、2人の年齢は重要な部分ではあるけれどアルツハイマーや心臓発作を起こすことがテーマではない」と語ると、「物語性こそが私がいつも求めていることであり、物語を展開させていくようなキャラクターであるかどうかということを大切にしている」と自身が守りつづけてきたポリシーを明かしてくれた。
文/久保田 和馬