橋本愛、水川あさみら女優たちの昭和ファッションがキュート!<写真15点>
太宰治の未完の遺作をもとにしたケラリーノ・サンドロヴィッチの人気舞台を、『八日目の蟬』(11)の成島出監督が映画化した『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』が公開中だ。戦後の混乱から復興に向かう昭和の日本を舞台とした本作を彩っているのが、女優陣がまとうレトロでキュートな衣装たちだ。
闇稼業で小金を稼ぐ文芸誌編集長の田島周二(大泉洋)は、優柔不断だが、なぜか女にはめっぽうモテてしまい、気づけば何人もの愛人を抱える始末。そろそろ真っ当に生きようと決心をしたものの、別れを切りだすのは至難の業。そこで金にがめつい担ぎ屋のキヌ子(小池栄子)を雇ってニセの妻を演じさせ、女性たちと別れる計画を実行する…という物語がユーモラスに展開していく。
作品の肝となる戦後の昭和という時代性、そして田島を取り巻く女性たちの豊かなキャラクター性を際立たせているのが、宮本茉莉が手掛けた昭和モダンなファッション。「衣装で遊べる映画だったので、ほとんど自分で作ったんです。ビンテージの生地を扱っている店や問屋で生地から探して選んで、何度か仮縫いをして仕上げました」と語るように宮本のこだわりが大いに詰まっている。
例えば、キヌ子の衣装。最初に汚い担ぎ屋として登場する時は、力持ちに見せるためもんぺとひっぱりに布を重ね体を大きく見せる工夫をしているのだとか。さらに後に登場する真っ赤なドレスなどのおしゃれ着とのギャップを生むのにも一役買っており、泥だらけの顔を洗えば誰もが振り返る美女という設定に説得力を与えている。
また挿絵画家のケイ子(橋本愛)には、ブルーが鮮やかな柄物のワンピースなど絵本の中から抜け出してきたような個性的な洋服をチョイス。女医の加代(水川あさみ)は、彼女のクールさと色気を感じさせる紺色のブラウス、戦争未亡人の保子(緒川たまき)は、麻のブラウスと緒川の柳腰に似合うようなサーキュラースカートで品の良さを際立たせるなど、一目で見ただけでどんなキャラクターなのかを想像させるものとなっている。
さらに田島の妻の静江(木村多江)が着ているかすり柄の紬やバーのママやエキストラが着ている着物には、宮本の祖母が実際に使っていたものを使用したり、美術スタッフとも話し合いをし、統合性の取れた色彩の世界を構築したりと、戦後の昭和という時代設定を違和感なく再現しているのだ。
作品の世界観に彩りを与えるだけでなく、しっかりと意味を持たせているこれらの衣装の数々にも、ぜひ劇場で注目してみてほしい!
文/トライワークス