『パラダイス・キス』五十嵐隼士「夢は一個にしないで、何個も持ってほしい」 PART2
<インタビューPART1から続く>
――共演者の方で印象に残ったエピソードを教えてください
「おさむん(向井)は、一人だけ年上だったので、変に落ち着いていましたが、子供っぽいところが出ましたね。俺と賀来(賢人)くんで大政絢ちゃんをいじっていて、(大政に)何かを『言えよ!はっきり言えよ!』って言っていたんです。でもさすがに言い過ぎちゃって、テンションさがってきちゃったから『もうやめよう』と思って引こうとしたら、メイク中のおさむんが『言えよ!』って急にデカイ声で言って(笑)、『いやいや、聞いてたんかい!そんなに聞きたかったんかい!』と。その時に(向井の)キャラ崩壊して、この人はイケる口だと思って、そこからイザベラの権力を使って、ベタベタと」
――イザベラの権力とは?
「ワンピースの下に、透けないようにネグリジェみたいなのを着ていたんですよ。それで一緒に肩組んで、テーマを“不倫”にして写真を撮ってもらったんです。この人(向井)、そういう時に意外と決めポーズしたり、アホなこと大好きですよ!最初はジョージという役柄かもしれないけど、みんなとは一線引いていたんです」
――劇中のセリフで印象的な言葉、印象的な場面はありますか?
「一つは、(早坂紫役の北川)景子ちゃんが倒れて、アトリエに運ばれて目を覚ました時の、実和子の『実和子は櫻田実和子』ってセリフは、『すげーな!なかなか言わねーぞ』と、大好きで天才だと思いました!もう一つは、イザベラがジョージの家に行って、ジョージに『珍しく、おセンチになっているわね』っていうセリフ。イザベラのセリフのなかで一番好きです!」
――イザベラ役を演じた本作は五十嵐さんにとって、今後俳優をやっていくうえで転機になったのではないかと感じたのですが、本作はどのような位置づけになりましたか?
「(イザベラは)特殊すぎて(心境の変化とか)ないです!これは異例で、デザートは別腹のような、そんな感じです。女装する役も来ればやりますけど、イザベラの印象が強すぎて、あまりやる気にはならないですね」
――この作品の登場人物たちは自身の夢に向かい、みんなで一つの目標に向かって頑張っています。夢や目標を持っている皆さんに五十嵐さんからメッセージをお願いします
「夢だけを見過ぎないで、今をちゃんと見よう!僕も夢はありましたが、夢を見ているだけで、夢のために何をしているかと聞かれたら、特に何もしていなかった。だから、夢ばかり見ているよりも、経験を積んで、いろんな道や可能性を切り開いてほしいな。僕もそうでしたけど、多分、夢を持っている人って人生経験が浅いと思うんです。でも、いろんなことに挑戦していくにつれて、今まで持っていた夢とは違う、また別の夢が持てるかもしれないから、自分の本当の一番の夢を探してほしいですね。夢は一個にしないで、何個も持ってほしいです」
本作のパネルを立てての写真撮影の際には、キャスト陣全員の決めポーズを自ら真似をして撮影に挑んでくれ、周囲のスタッフから「やりたいだけでしょ!」と突っ込まれるなど、ムードメーカーのような五十嵐隼士。以前から「出番がなくても、毎日行きたくなるような楽しい現場だった」と話しているように、インタビュー中も撮影を振り返り、思い出話をする姿が印象的だった。本作のテーマでもある“自分の可能性を信じなきゃ、何も始まらない”というフレーズの通り、新しい世界へ踏み出す自信を与えてくれる作品になっている。【Movie Walker】