今回で8度目!?ビッグネームに映画化されてきた冒険小説「野性の呼び声」とは?
後世に残る名作小説なら、何度映像化されても不思議ではない。そんな数ある作品の中でも、驚くべき回数を誇る冒険小説が、最新映画が公開中の「野性の呼び声(原題:The Call of the Wild)」だ。
100年以上も前のベストセラー「野性の呼び声」
本作はアメリカを代表する作家の一人、ジャック・ロンドンの中編小説で、なんと映画化は今回で8度目(!)。貧しい家庭に生まれ、小学校を卒業すると缶詰工場やアザラシ漁船などで働いてきたロンドンが、ゴールドラッシュに沸く1890年代後半の米国アラスカで、荷物運びの船乗りをしていた際の経験がもとになったと言われている。
1903年に出版された「野性の呼び声」はベストセラーとなり、現代でもアメリカの小・中学校の教科書に載るほど高い認知と人気を誇る。また、世界47カ国語に翻訳されており、出版後は一度も絶版となったことがないという。
1923年にサイレント映画化されると、1935年には時の大スター、クラーク・ゲーブル主演でトーキー映画として登場。1972年にもチャールトン・ヘストン主演で映画化(共に、邦題『野性の叫び』)。その後も1992年にテレビ映画化、1997年にもルトガー・ハウアー主演のテレビ映画 (邦題『ザ・サバイバル』)が作られたほか、2002年にはアニメーション映画化、直近では2009年にも映画化されている。ただ、日本では1972年版以降は劇場公開されてこなかった。
その日本ではもしかすると、1976~77年に「テレビマガジン」で石川球太・作画で連載された漫画「荒野の呼び声 ほえろ!バック」や、それを原作に1981年1月3日のスペシャルアニメ枠で放送された「荒野の呼び声 吠えろバック」で知っている人の方が多いかもしれない。
ハリソン・フォード演じる冒険家と名犬の絆に感動!
およそ100年にわたる映画の歴史と共に歩んできた本作。その最新映画もまた、監督を『リロ&スティッチ』(02)や『ヒックとドラゴン』(10)など“言葉の壁を越えた友情”の物語に定評のあるクリス・サンダースが手掛け、「スター・ウォーズ」シリーズのハン・ソロや「インディ・ジョーンズ」シリーズのジョーンズ博士などを演じてきたレジェンド、ハリソン・フォードが主演を務めるという豪華な布陣。
物語は、フォード演じる冒険家ソーントンと彼の相棒になる名犬バックを軸に展開される。ある日、カリフォルニア州にある豪邸で幸せに暮らしていたバックがイヌ泥棒にさらわれ、カナダでそりを引くイヌとして売られてしまう。人々に酷使されるバックの前に現れたのが、未開の地を求めて旅をするソーントンで、運命的な出会いを果たした一人と一匹が雪原や激流など、数々の危険な冒険を乗り越えながら固い絆を結んでいく。
映し出される大迫力の美しい景色や、元シルク・ドゥ・ソレイユの体操選手の演技をパフォーマンスキャプチャし命を吹き込んだ表情や仕草が豊かなバックの姿など、現代ならではのテクノロジーを駆使した映像には、圧巻されること間違いなし!そんな100年以上にわたり愛される傑作を、最新技術で映像化した最新系にして最高傑作とも言える『野性の呼び声』。スクリーンで観れば、なぜ何度もこの物語が映画化されるのか?その理由がわかるはずだ。
文/トライワークス