薬の過剰摂取に度重なる自殺未遂…大スター“ジュディ・ガーランド”の壮絶な人生

コラム

薬の過剰摂取に度重なる自殺未遂…大スター“ジュディ・ガーランド”の壮絶な人生

先日行われた第92回アカデミー賞でレニー・ゼルウィガーが主演女優賞を獲得し、注目が集まる『ジュディ 虹の彼方に』(公開中)。レニーが演じたジュディ・ガーランドはハリウッドの黄金期を支えたスターの一人だが、その華やかな栄光の裏で壮絶な人生を送っていたことを知っているだろうか?

多くの問題を抱えながらもステージに立つことを諦めなかったジュディの歌声にしびれる!
多くの問題を抱えながらもステージに立つことを諦めなかったジュディの歌声にしびれる![c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

1922年にアメリカのミネソタ州で3姉妹の末っ子として生まれたジュディは、父親がボードビル芸人、母親がピアニストだった影響もあり、わずか2歳半で舞台デビュー。その後、1929年には二人の姉と共に“ガム・シスターズ”として銀幕に登場し、キャリアを重ねていった。さらに、35年に彼女は、13歳で映画会社MGMのオーディションに合格し、17歳で『オズの魔法使』(39)の主人公ドロシー役を務めて一躍ブレイクを果たす。

10代のころからジュディは多くのハラスメントを受けていた
10代のころからジュディは多くのハラスメントを受けていた[c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

華やかな世界に飛び込んだジュディだったが、舞台の裏側ではハードなスケジュールをこなすために興奮剤と睡眠薬を交互に服用したり、太りやすい体質からダイエット用に覚せい剤の使用を強いられるなど、薬漬けの日々を送っていたという。またジュディは、当時のMGMの社長ルイス・B・メイヤーをはじめとする上層部の人間や母親から容姿を侮辱されていたため、ルックスに対するコンプレックスが強く、極度の緊張や舞台恐怖症にも苦しんでいた。そして、若い頃から服用していた薬の影響もあり、心身供にボロボロのジュディは幻聴や被害妄想に悩まされ、遅刻や無断欠勤を繰り返すようになり、49年にはMGMを解雇されてしまう。

心身ともに限界だったジュデイを演じるレニー・ゼルウィガーの熱演から目が離せない
心身ともに限界だったジュデイを演じるレニー・ゼルウィガーの熱演から目が離せない[c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

そんなジュディは生涯で5度の結婚を経験し、46年には2番目の夫ヴィンセント・ミネリとの間に、後に女優および歌手となる娘ライザを出産している(3番目の夫との間にも一男一女をもうける)。一方で、薬物依存から自らの頸動脈を切るなど自殺を図ってしまうことも。そういった彼女の癇癪や自傷行為が止まることはなく、度重なるトラブルから映画出演のオファーは途絶え、女優業を離れてライブ活動に注力するも、減らない借金や子どもたちとの別居など問題が途絶えることはなかった。そしてその最期は、1969年6月22日、47歳の時に滞在先のロンドンのバスルームで睡眠薬の大量摂取により死亡している。

ジュディは子どもたちを地方のショーにも連れて回り、ホテル生活を送っていた
ジュディは子どもたちを地方のショーにも連れて回り、ホテル生活を送っていた[c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

様々なハラスメントを受け、多くのトラウマを抱えながらもステージに立つことを諦めなかったジュディ。彼女が亡くなりすでに50年が経つが、その楽曲はアメリカやイギリスを中心に世界中のファンに愛され、ライブ音源はいまもなお発売され続けている。本作はジュディが最後に行ったロンドン公演の模様にフォーカスし、その壮絶な生き様を描いていく。伝説のミュージカルスターの知られざる真実を、ぜひ映画館で目に焼きつけてほしい!

文/トライワークス

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