『奇跡』のまえだまえだが樹木希林と突っ込みお笑いトーク!?
『誰も知らない』(04)の是枝裕和監督の最新作『奇跡』が6月11日に公開され、新宿バルト9で初日舞台挨拶が開催された。主演を務めた小学生のお笑いコンビ・まえだまえだ(前田航基&旺志郎)、大塚寧々、樹木希林、是枝監督が登壇。樹木希林とまえだまえだの凸凹突っ込みトークで、会場は賑やかな笑いに包まれた。
まえだまえだが演じるのは、両親が離婚後、鹿児島と福岡で離れて暮らす兄弟の役。九州新幹線が全線開業する朝、新幹線の“つばめ”と“さくら”の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きる!? 本作はそんな噂を信じた子供たちが、その瞬間を見に出かけるという物語だ。是枝監督は「奇跡的ないろんな出会いがあって素敵な映画になったと思います」と自信を持ってアピール。まえだまえだの兄・前田航基は「本日はお足元の悪い中、こんなにたくさんの方にお集まりいただきありがとうございます」と大人顔負けの挨拶をし、弟・前田旺志郎は「旺志郎が出てるシーンをいっぱい見てください」と、子供らしいコメントをすると、会場でどっと笑いが起きた。
樹木希林は、3月11日に起きた東日本大震災と、この映画に関連して、悲痛な思いを語った。「3月12日に九州新幹線が全線開通するっていう日に九州におりまして。皆さん、駅ごとにいろんなイベントを用意して盛り上がっていたのに、前日の3月11日に大震災が起こり、お祝いごとが全部なくなりました。あの姿を目の当たりにして寂しく思いました。その後の原発の状況や、子供たちの元気な姿を見るにつけ、大丈夫じゃないってことを自覚しないとって思い、リュック背負ってすぐにでも逃げられるようにしようかと。映画を見れば、何かを感じてもらえると思います」。
続いて、母親役の大塚寧々について航基は、「めっちゃ優しかった。でも、家族4人でケンカになるシーンはめっちゃすごくて。人間こんなに変われるんか?と」と言うと、大塚は「素で怖がったのがわかりました」と苦笑い。旺志郎は「めっちゃびっくりした。さっきまでのどこいってん?って思った」と言うと、会場は大爆笑。
そんなまえだまえだに「おばあちゃんはマイペース」と言われた樹木は、「普段もうるさいんですよ」と呆れ顔。すると旺志郎がすかさず「だって子供やもん」とポロリ。樹木は「それじゃ駄目だと。漫才も“間”ってのが大事だからと、大人としてアドバイスしましたが、全然聞いてない」ともらすと、航基は「子供なんで」とへっちゃら顔。旺志郎も「はしゃがんかったらストレスたまるもん」と、負けじと突っ込みをし、会場はまた笑いの渦となった。そんな3人の掛け合いの後、是枝監督が「子供たちが自由に息づくことができたのは、大人の役者さんたちのおかげ。皆さんがもう一人の演出家のような役割をしてくれた」と、大人たちをねぎらった。
『奇跡』は、ヨーロッパやアジアなど、既に海外13ヶ国での公開が決まっている。世界中で役者・まえだまえだが脚光を浴びる日は近い? 是非、希望に満ちあふれた本作を見て、パワーをもらってほしい。【取材・文/山崎伸子】