デンゼル・ワシントン&フランシス・マクドーマンドが「マクベス」を演じる!監督はコーエン兄弟の兄ジョエル
『トゥルー・グリット』(11)のコーエン兄弟の兄、ジョエル・コーエンがシェイクスピアの戯曲「マクベス」を映画化すると、The Film Stageなどが報じている。マクベスを演じるのは「イコライザー」シリーズのデンゼル・ワシントン、マクベス夫人は『スリー・ビルボード』(17)のフランシス・マクドーマンドが演じる。
「マクベス」は、「ハムレット」「リア王」「オセロー」に並ぶシェイクスピアの“4大悲劇”の一つであり、3人の魔女に予言を授けられたスコットランドの将軍マクベスが、野心ある妻とともに隆盛と破滅を辿る物語だ。
この度、脚本・監督を担当するコーエンと、妻であるマクドーマンドが募金活動の一環としてイタリアのフェニーチェ劇場のインスタグラムに登場し、本作の見どころを語った。
コーエンの脚本は、シェイクスピアの戯曲を「あれこれ変えたりせず、少し編集しただけ」であり、85%は戯曲からのセリフを使用しているほど原作に忠実だという。
スリラー映画として制作されている本作のタイトルは『The Tragedy of Macbeth』であり、登場人物にとっても、ストーリーテリングにおいても「時間が差し迫っている作品である」という。時間という明確なプレッシャーが登場人物と物語を突き動かし、マクドーマンドは「それがコーエンの翻案を魅力的にしている」と語った。
現在、マクベスを演じるワシントンは65歳、マクベス夫人を演じるマクドーマンドは62歳。マクベス夫妻を演じるにはいささか高齢だが、残された時間が少ないことこそが、2人の玉座への熱望に拍車をかけるのだという。マクドーマンドは「マクベス夫妻が高齢であり、子どもがいないということが重要でした。後継者を与えることができなかったという悲劇が、夫に玉座を与えたいというマクベス夫人の原動力にもなったのです」と語る。
またコーエンは、「シェイクスピアはイギリス文学の天才だが、最高のエンターテイナーでもある」と語っている。時にエンターテインメント性を優先し、歴史的観点を脇に追いやっていることがあるという。
コーエンはその点を翻案でも重要視し、3人の魔女を1人の俳優に演じさせることにした。魔女役を務めるのは、日本の舞台出演経験もあるキャサリン・ハンターだ。彼女が演じる魔女は”戦場で死体をあさる鳥“だが、人の姿に変身することができるという設定で、これはコーエンとマクドーマンドの2人で考えた案だそう。「映画の中でも最もおもしろい見せ場の一つ」として映像化に取り組んでいるようだ。
他出演キャストは、ダンカン王役にドラマシリーズ「ミスター・メルセデス」のブレンダン・グリーソン、マクダフ役に『ブラック・クランズマン』(17)のコーリー・ホーキンス、マルコム役に「ハリー・ポッター」シリーズでダドリーを演じたハリー・メリング、そして「チェルノブイリ」(19)のラルフ・アイネソンなど。音楽は、コーエン兄弟の全作品を手掛けるカーター・バーウェルが担当する予定だ。
新型コロナウイルスの影響で、全体の3分の2を終えた時点で撮影は中断されており、公開時期は未定となっているが、新たな視点をもって映画化されるジョエル・コーエン版「マクベス」がどのような仕上がりになるのか、続報が楽しみだ。
文/編集部