『天国からのエール』完成披露で阿部寛「時代を生きるためのヒントが作品にあります」

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『天国からのエール』完成披露で阿部寛「時代を生きるためのヒントが作品にあります」

阿部寛が主演を務める最新映画『天国からのエール』(10月1日公開)が完成。余命3ヶ月と宣告された主人公と、若者たちの実話を描いた本作の完成披露試写会に、阿部をはじめ、ミムラ、桜庭ななみ、矢野聖人、森崎ウィン、野村周平らキャストが、熊澤誓人監督と共に登場。主題歌を務めたステレオポニーも登壇し、舞台挨拶を行った。

映画の舞台は、美ら海水族館で有名な沖縄県本部町。そこで弁当屋「あじさい弁当」を営む仲宗根陽さんが、夢を持つ高校生たちのために、自ら借金をし、無料の音楽スタジオ「あじさい音楽村」を作った。そんな仲宗根さんの姿をモデルに、主人公・大城陽を演じた阿部寛は、「毎日、仲宗根さんがどんな気持ちですごしていたのかを想像しながら演じました。全力で生き抜いた人で、彼の生き様を映画でどう収めたら良いか、責任感とプレッシャーを感じながら撮影に挑みました。仲宗根さんのお母さんは、『陽が戻ってきた』と僕を見る目が熱かったんですけど、僕を息子のように思ってくれて嬉しかったです」と撮影を振り返った。

妻・美智子を演じたミムラは、ベテラン俳優の阿部との初共演に、当初戸惑いを感じたようで、「これまで視聴者として阿部さんの存在感を大きく感じていたので、絶対に負けてしまうと思いました。でもダンナさんを支える奥さんとして説得力を出すために、真っ向からケンカができる相手を演じようと、台本には書いてなかったけど、わざとふきんを投げてみたりしました」と役作りの工夫を明かした。

劇中でバンド、Hi-drangea(ハイドランジア)を組むのは、桜庭ななみ、矢野聖人、森崎ウィン、野村周平の4人。紅一点のボーカル、アヤを演じた桜庭は、「私はギターに触ったこともありませんでしたが、手のマメがカチカチになっていくのを楽しみに頑張りました(笑)」とキュートな笑顔を見せた。野村は「1ヶ月間、同じ部屋ですごしていたことが思い出。3人で水族館にも行きましたけど、むさ苦しかったですね!」と笑い飛ばし、矢野は「3人で焼肉を食べに行ったりしました」と、撮影現場の思い出を語った。そこで阿部は森崎に、「今日、監督と髪型が似てるけど、それは狙い? 兄弟みたい(笑)」と突っ込みを入れ、森崎は「そんなことないですけど、光栄です」とコメント。少し緊張していた様子の森崎から笑顔がこぼれ、会場のムードも和やかな空気に包まれた。

本作のメガホンを取ったのは、犬童一心監督や森田芳光監督のもとで助監督としてキャリアを重ねてきた熊澤誓人。今回、劇場用初作品となる熊澤監督は「仲宗根さんが亡くなってから一年も経っていないなかで、その場所で撮影をすることは、スタッフはもちろん、キャストもプレッシャーというか、胸に抱えたものは大きかったと思う。でも僕にとっては初めての映画で、そういうプレッシャーは喜びとして感じていました」と、心境を語った。

主題歌「ありがとう」を歌うのは、「あじさい音楽村」で育ったガールズバンドのステレオポニー。実際に仲宗根さんの教えを受けたというステレオポニーのAIMIは、「ニイニイも天国で喜んでいると思います」、NOHANAは「今日初めて阿部さんにお会いしましたが、ニイニイに似ていて、怒られるんじゃないかなと思ってドキドキしました(笑)」、SHIHOは「いろんなことを思い出して、映画化してくれた人たちに感謝しています」と、それぞれがコメントし、あじさい音楽村の若者からの色紙を阿部にプレゼント。阿部は「みんな字が上手いな」と色紙に見入っていた。

最後に熊澤監督は、「どんなに強い人でも、どんなに弱い人でも、必ず誰かに支えられて、誰かの支えになっていることをテーマに撮りました。大切な場所や大切な人を思い浮かべて見てほしいです」と語り、阿部は「人と人の関わり合い、成長、人の力強さがしっかり描かれている作品。こんな時代を生きるためのヒントが作品にあると思います」とアピールした。大人と若者が心を通わせ、希望に満ちあふれた感動のドラマの公開を心待ちにしてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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