山田孝之が『十三人の刺客』をひっさげNYで叫んだ!「時代劇は日本の誇り」

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山田孝之が『十三人の刺客』をひっさげNYで叫んだ!「時代劇は日本の誇り」

現地7月1日から14日まで開催された第10回ニューヨーク・アジア映画祭と、7月7日から22日(金)まで開催されている第5回ジャパン・カッツ!で新作『ミロクローゼ』(2011年公開予定)、『GANTZ』(11)、『GANTZ PERFECT ANSWER』(11)、『乱暴と待機』(10)、『シーサイドモーテル』(10)、『十三人の刺客』(10)に出演している山田孝之が、『十三人の刺客』の上映前に舞台挨拶を行った。

三池崇史監督の『十三人の刺客』は、1963年に公開された工藤栄一監督作『十三人の刺客』を忠実にリメイクした作品で、日本では141分の完全版が公開されているが、海外で公開されたのは全て126分の15分短縮バージョン。昨年、ヴェネチア国際映画祭でも高い評価を得ているが、時代劇ファンの多いアメリカなどでも好評を博し、完全版を求める声が高かったという。

今回、日本以外で初めて141分のディレクターズカットが同映画祭で公開されることになったわけだが、同映画祭のスタッフは「これまでもいろんな時代劇を見てきたが、久しぶりに本物の素晴らしい日本の時代劇を見た気がします。三池監督は本当に素晴らしい。セクシーなシーンがカットされていたので、ニューヨークで皆さんに完全版をお披露目できることを誇りに思います」と嬉しそうに語った。

彼らがイチオシと豪語する通り、前売券は完売で、当日券を求めて1時間以上前から劇場前に列ができるほどの盛況ぶり。マンハッタン在住のジョンさんは、「テレビで『座頭市』シリーズを見て日本の映画が好きになった。その後は、クロサワ(故黒澤明監督)、ミフネ(故三船敏郎)などの素晴らしい日本映画をたくさん見るようになったが、『十三人の刺客』も楽しみにしていたんだ」と語り、気合たっぷりで列に並んだという。

役所広司、松方弘樹、平幹二朗、松本幸四郎など大ベテラン俳優に、伊勢谷友介、稲垣吾郎など若手個性派俳優が勢ぞろいした同作で、山田が演じたのは、役所扮する島田新左衛門の甥っ子という役どころだ。表彰式では黒のスーツ姿だったが、この日は帽子にポロシャツ、ブーツとラフないでたちで現れた山田は、世界でも名だたる役所広司と仕事をした感想について聞かれると、「役所さんのことは以前からすごい役者さんだと思っていて、10年前くらいから、いつか共演したいと思っていました。『いつになったら共演できるのかな?』と思っていたら、遂に実現しました。侍の役もいつかやってみたいと思っていたんです。時代劇は、日本人しかできないもので、日本人の誇りです。その時代劇デビューを素晴らしい皆さんと、そして三池監督作でデビューできて、とても嬉しかったし、本当にラッキーだったと思っています」と誇らしげに語り、会場の観客席から大きな拍手が沸き起こった。

今回の作品で初めて立ち回りを披露した山田は、「立ち回りはもちろん、馬にもちゃんと乗ったことがなかったので、約1ヶ月かけて練習しました。『ミロクローゼ』のダンスも同時にこの期間に練習したので、立ち回りと共に、この作品のおかげで、多門と熊谷ベッソンをすんなり演じられたんです」と笑いながら、さりげなく新作『ミロクローゼ』もアピールした。

また尊敬する三池監督との仕事については、「小さい時から特に運動はしてなかったんですが、わりと体が良く動くんで、三池監督からは『もっとできるだろ』と言われて、何回も撮り直したりしたシーンがありました。三池監督は、とても自由にさせてくれる代わりに演出が厳しいんですよ。だから、納得するまで何度でもやりました」と、結構苦労したことを明かした。

最後に尊敬する三池監督との再タッグについて問われた山田は、「三池監督とは『クローズZERO』(07)、『クローズZERO II』(09)とこの作品で3作目ですが、次の予定がないので、これが駄目だったかのかなあ」と真顔で語り、観客の笑いを誘った。

とにかく、芸術の街・ニューヨークでは、時代劇ファンが多いことに驚かされる。上映中も13人の刺客たちがバッサバッサと刀で敵を切り倒していく度に、観客席からは拍手と歓声が沸き起こり、上映終了後には大きな拍手の渦に包まれた。既に126分バージョンを見た観客も、15分長いディレクターズカットを大絶賛しており、“15分の重み”をかみしめながら、日本人魂を堪能したようだ。【NY在住/JUNKO】

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