役所広司、なでしこジャパンの初優勝に感動。山本五十六役にも「リーダーシップが大事」
2012年東映の正月映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(12月23日公開)のクランクアップ記者会見が、7月18日にホテルニューオータニで開催。役所広司、玉木宏ら豪華出演者が劇中衣裳に身を包んで登場した。折しも、今朝未明に女子ワールドカップでなでしこジャパンが初優勝したことで、興奮の冷めやらぬ中、役所たちも喜びのメッセージを語った。
太平洋戦争時、軍人でありながら、誰よりも戦争に反対したという聯合艦隊司令長官の山本五十六。彼が命を懸けて苦渋の決断をした真珠湾攻撃の真実を、壮大なスケールで描く本作。オールスターキャストとはまさにこのことで、役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、吉田栄作、椎名桔平、伊武雅刀、中村育二、五十嵐隼士、瀬戸朝香、原田美枝子、宮本信子、そしてメガホンをとった成島出監督らが登壇した。
挨拶時に、早速、ワールドカップの世界優勝の快挙について触れた役所は、「僕も一睡もせず応援してました」と笑顔で語った。さらに、なでしこジャパンについて、映画の内容を絡めたお祝いコメントも口にした。「なでしこジャパンは、最後まであきらめずに勝利を手にした。映画も時間と予算に制約がありながら、何とかあきらめず、より良いものができればという気持ちを忘れてはいけない。それが自分の信念です。また、日本の女性は強いなとつくづく思いました」。
また、玉木宏は「澤キャプテンは、あきらめない心を持ったキャプテンだなと。そういうリーダーがいてこそ力が発揮できたんだと。今、活気がない日本にとって、すごく活気を与えてくれた試合でした」とねぎらい、元サッカー部だった椎名は「本当に感動しました。パワーとスピードで全然叶わないというのが前半の印象でしたが、あきらめないという気持ちであそこまで戦い、勝利したことに、自分自身が勇気づけられました」と興奮気味に語ると、柳葉も「間違いなく日本が1つになった瞬間。本当にありがとうございました」と、感謝の思いを語った。
役所が演じた山本五十六は、まさに今の日本に必要なリーダーシップを持つ人物だ。役柄としても、現場でもリーダーシップが問われた役所は、「やっぱりリーダーシップを発揮するには、部下には愛されなければいけないし、世界を見ることができる人物でなければいけない。また、自分の信念を貫くために、最後まであきらめない胆力を持つ人物でなくてはいけない」と、力強く語った。そんな役所について、五十六の妻役を演じた原田美枝子は「五十六は懐が深くて、温かい人で、信念を貫いた方。役所さんもその通り、懐深く温かく五十六を演じられていました」と太鼓判を押した。
キャスト陣の中では若手に当たる五十嵐隼士は、「若い世代の代表として、若い世代の架け橋になれば」と言っていたが、役所も「僕も戦争を知らないんですが、国を守るために、これだけの人が命を懸けて戦ったことは事実。どうしてあの時、戦争を起こしてしまったか、それをもう一度、考えるきっかけになればと」と、真摯な眼差しで会見を締めくくった。豪華キャスト陣やスタッフの熱い言葉の中に、戦争映画を作る意味と、今、日本で本作を公開する意義を改めて感じた。【取材・文/山崎伸子】