岡田将生&榮倉奈々、モントリオール映画祭でトロフィーを手に受賞を実感
第35回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品され、イノベーションアワードを受賞した『アントキノイノチ』(11月19日公開)で主演を務めた岡田将生、榮倉奈々と瀬々敬久監督が8月30日、受賞報告会見を行った。
同映画祭の授賞式に出席した瀬々監督の帰国に併せ、急遽行われた今回の会見。受賞したイノベーションアワードとは、その年の映画祭で最もインパクトを与え、革新的で質の高い作品に与えられる賞だ。トロフィーを手にした岡田と榮倉は「重みを感じた」と感慨深げな表情を見せた。現地でトロフィーを受け取った瀬々敬久監督だが、「実はイノベーションアワードというのが、どういう賞なのかもよくわからずに壇上に出ていた(笑)」と暴露し、周囲を驚かせた。「上映にも立ち会い、海外のお客さんの反応がとてもよくわかりました。ご自分の身内を亡くされて、ご自身でその方の部屋を片付けた経験がある方もいて、死をきっかけに生に向かっていく主人公の姿に感動したということでした。3月に日本でも大きな地震があり、生死というものを身近なものに感じることが多くなったと思いますが、まさに今、そういった生死の渦中で自分たちが生きている、生活してるということを意識して作りました。そのような部分が海外の方々にもダイレクトに自分の身の回りのこととして伝わり、まさに映画を見てくださっていた方々の目線で、評価をしてくれたのではないか」と、手応えを感じたようだ。
悲しい過去を持つ杏平(岡田)の恋人・ゆきを演じた榮倉は、「ゆきは、一般的にはなかなか共感してもらえないような過去を持っているのですが、そのゆきちゃんと杏平の姿を見て、心を動かされたと言ってくれたお客さんもいらっしゃったのが嬉しかったです」と印象に残った感想を紹介。マネージャーからの電話で、朝ごはん中に受賞の知らせを知ったという岡田は、「その時はすぐに理解できなかったのですが、原田泰造さんから『やったな!』というメールが届き、初めて実感が沸きました」と話し、榮倉は「トロフィーを見てようやく実感が沸きました」と、受賞の喜びをひしひしと感じているようだ。
同映画祭では、原田眞人監督、役所広司主演の『わが母の記』が審査員特別グランプリを受賞。瀬々監督は「出品されていた映画は、色々な国の色々な問題を描いている誠実なドラマが多かったのですが、そんな中、今回、日本映画が二作品も選ばれたのはとても嬉しいですね」と、日本映画作品のW受賞に思わず頬がほころんでいた。
本作で、複雑な背景を持った役を演じた岡田と榮倉。本作について、「心に傷を負った主人公の杏平と同じように、僕もいじめの経験があるので、杏平に共感でき、心の叫びが届いた。この役は、自分でもすごく大切な役になりました。今後は自分と重なる部分がある役はもちろん、重ならない役にも挑戦し、さらに成長していきたいと思います」と岡田が語れば、榮倉は「私はこの映画に出演している側なのですが、杏平の言葉などが自分自身の中でもヒントになった。人それぞれ答えは違うかもしれないですが、私たちと同世代の方々からも共感していただけたら嬉しく思います」との思いを話した。最後に、瀬々監督は「この映画のテーマでもありますが、そういうふうに日本の人たちにどんどんつながってくのが、第一のスタートだと思っています。僕は後何年生きられるかわからないですし、働けるのは後10年くらいかもしれないですが(笑)、未来を背負うような、そんな若い方々に見てほしいと強く思っています!」とメッセージを送った。【Movie Walker】